レポート/資料

「訪問介護等におけるカスタマーハラスメント対策のポイント」

2022.8.1

要旨

  • 訪問介護等はその特性からハラスメントに遭うリスクが高く、かつ、把握もしづらい。
  • ハラスメント対策への社会的要請は高まっており、訪問介護等においては虐待防止の観点からも重要である。
  • 相談対応体制を整備するに止まらず、活用されるために職員の申し出に対する心理的ハードルを下げる工夫が求められる。
  • 訪問介護等では管理者から職員へ気になる点は直接確認するなどの積極的な対応も求められる。

1.訪問介護等におけるカスタマーハラスメントの発生状況

厚生労働省は団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される 地域包括ケアシステムの実現を目指している。その中で、訪問介護や訪問看護のように利用者の自宅に職員が訪問するサービスは必要性が高まっている。一方で、その担い手の1つである訪問介護員の約9割は女性であり、 サービス特性として職員が単独で利用者宅を訪問してサービス提供を行うことや、利用者の身体に触れる場面が多いこと、利用者と事業者との関係性により訪問する職員の立場が弱くなりがちであることなどから、 ハラスメントに遭うリスクが高いと考えられる。サービス提供中に発生するハラスメントには図1のような行為が挙げられ、本稿では利用者・家族等から示される図1のような行為を「ハラスメント」と定義する。

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