レポート/資料

2019年度 No.4「中国における2019年台風予測と防災対策について」

2019.8.1

要旨

2019年7月2日、台風4号「中国名:木恩(英名:Mun)」が、海南省万寧市と楽鎮の沿海に上陸し、今年も本格的な台風シーズンがスタートした。今後数か月は台風が次々に発生し、大陸に影響を与えることが想定される。本稿では中国における2018年の台風被害を振り返るとともに、今年の台風の予測を踏まえ、台風に対する事前対策について提案する。

1. 2018年の台風概況

2018年、太平洋の北西部と南シナ海では、計29個の台風(中心付近最大風力≧8級(後述))が発生した。これは平年(1949-2015年の平均値。以下同じ)と比べると3.5個多い値であった。そのうち10個は中国大陸に上陸し(図1と表1参照)、上陸個数としても平年の値(7.2個)より3個多かった。中でも「安比(Ampil)」、「摩羯(Yagi)」、「温比亜(Rumbia)」が1カ月の間に相次いで華東地域より上陸して内陸部に進行し、華北、東北地域まで影響を及ぼした。「温比亜(Rumbia)」は2018年に最も大きな被害をもたらした台風であり、山東省、河南省、安徽省、江蘇省等が深刻な洪水災害を受けた。このほか、「山竹(Mangkhut)」は2018年に上陸した台風として最も勢力が大きく、広東省、広西省、海南省等が被害を受けた。統計によると、2018年に発生した台風によって全国で3,260.6万人が被害を受け、80人が死亡、直接的な経済損失は697億3000万元に達したという。経済損失は2008~2017年の平均値と比較しても大きなものであったといえる。

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