電気火災事故の防止に向けて【中国風険消息(中国関連リスク情報)2016年 第5号】
2017.1.1
はじめに
電気は私たちに便利な生活をもたらしている一方で、電気に関わる火災は頻発しており、多くの死傷者や巨額の経済損失が発生しています。企業も例外でなく、2013年6月には吉林省長春市の鶏肉加工工場で電気ショートによる火災が発生し、死者121人、約1.82億元(約31億円)の損失をもたらしました。また公設消防局が公表した資料によれば、2016年の1月から10月までで、電気火災は全国の火災件数の約30%を占めており火災原因の1位となっています。
そこで今回は電気火災事故を取り上げ、出火原因や具体的な対策について考察するとともに、事故防止のためのポイントを解説します。
1.火災に関する集計データ
(1) 火災の出火原因
2010年~2014年の統計データによると、中国ではこの5年間で119万件以上の火災が発生しています。そのうち電気火災は35万件で全火災件数の3割を占めており、出火原因の1位となっています。
(2) 電気火災の時間帯別の発生件数
図2は2014年の電気火災発生件数を時間帯別に整理したもので、10時~22時の間に電気火災が多く発生していることが見てとれます。特に18時~20時は電気火災が最も頻発する時間帯であり、逆に早朝の4時~6時は電気火災が一番少ない時間帯です。電気火災の発生頻度は日常生活のリズムとほぼ一致しており、電気使用の多い時間帯は電気火災が最も発生しやすい時間帯であるとも言えます。
全文はPDFでご覧いただけます