レポート/資料

中国の電力不足事情【中国風険消息(中国関連リスク情報)2012年 第6号】

2012.9.1

上海や北京、広州など、多くの日本人が住む都市部において通常の生活を営んでいる中で、(マンションなどの電気設備の老朽化によるものは別として)、突然停電に見舞われるという不便を経験することはほとんどないため、「中国は電力不足である」と聞いてもピンと来ない読者も多いと思われます。

しかし、中国では長年にわたり深刻な電力不足が続いており、このリスクが中国の経済発展を阻害する要因になりかねないとの懸念の声も聞かれるほど、危機感が高まっています。本稿では、記録的な電力不足に見舞われた昨年夏季の事例を紹介した上で、電力不足の発生原因、今年下半期以降の電力需給の見通しについて解説します。

昨年夏季の電力不足事例

昨年、中国では、大手送電企業である国家電網公司が5月に「夏の電力不足が最大で4,000万kWに達する可能性がある」との見通しを明らかにするなど、大規模な電力不足が夏前の段階から大いに懸念される状況となり、各地で電力供給の制限や、「錯峰」(電力使用量のピークをずらす意味)と呼ばれる計画停電が実施されました。

2011年5月24日付の広東省の有力紙「南方都市報」は以下のように報じています。(抜粋・要約)

  • 広東省恵州市では大幅な電力不足への対応として「開四停三(4日供電、3日停電)」とか「開五停二(5日供電、2日停電)」といった思い切った計画停電が実施され、同市の8,500社以上の企業が生産ラインの停止を余儀なくされるなどの損失をこうむった。

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