海外駐在におけるメンタルヘルス【中国風険消息(中国関連リスク情報)2011年 第12号】
2012.1.1
1. メンタルヘルスの実態
私自身、中国に赴任し、まもなく6年になるが、年々周りで「最近、メンタルが増えている」「当社でもメンタルになった者が出た」「最近、精神的に参っているものがいて…」といった言葉を耳にする機会が増えているように感じる。
外務省による、アジア地域での海外邦人救護統計を見ると、ここ3年で、精神障害の救護件数自体は、2008年108人、2009年118人、2010年90人という推移に対し、自殺及び自殺未遂は、2008年23件、2009年36件、2010年45件と、増加傾向にある。この数値は、全世界では、2008年58件、2009年68件、2010年79件と、アジアでの増加が、ほぼそのまま数値に反映されていることになる。
目覚しい発展を続けているここ中国において、多くの日系企業もこぞって進出し、ビジネスを展開している。その中で、「生産工場だけの機能」から「消費マーケットとしての中国」として、事業の方向転換・拡大を行う企業が非常に増大してきている。事業活動を行っていく上では、ありとあらゆる様々なリスク要因が企業・個人を取り囲んでいることは、皆が知るところであるが、今号では、メンタルヘルス対策について、(定義等を紹介したものは、巷に沢山出ているため)海外事情も踏まえたものをご紹介したい。
2.メンタルヘルスの要因
メンタルヘルスを引き起こす要因には、業務のプレッシャー、人間関係、業務量、帯同家族も含め海外での生活にうまくなじめない、等様々なものが考えられる。
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