
2015年度 No.9「ミャンマーにおける洪水リスク」
2015.7.1
はじめに
今回はミャンマーにおける洪水のリスクについて解説いたします。
ミャンマーでは過去より多くの洪水被害が発生しています。特に河川沿いの都市やデルタ地帯の農業・漁業エリアでは頻繁に洪水が発生して家屋などの被害が発生しています。一方で農業や漁業においては洪水は肥沃な土地をもたらす恵みとして活用されているという側面もあります。
1 ミャンマーにおける洪水の特徴
ミャンマーにはエーヤワディー川をはじめとする多くの河川が存在します。こうした河川は古くから水上輸送ルートとして利用されてきたため、多くの都市は河川沿いに発展してきました。
経済の発展に貢献してきたこうした河川は、同時に洪水による多くの被害をもたらしてきました。
ミャンマーにおける主な洪水被害は河川氾濫によるものです。河川沿いの都市では洪水による被害が繰り返し発生しています。
一方で南・西沿岸部ではサイクロンに伴う高潮による洪水が発生しています。高潮被害は従来、西側沿岸部での被害が目立ちましたが、近年はサイクロンの経路が低緯度化していると言われており、2008年にはサイクロン・ナルギスがヤンゴン周辺の南沿岸部に上陸し、高潮による甚大な損害が発生しました。
1.1 洪水の発生数と傾向
ミャンマーはモンスーン気候の影響のため多雨地域であり、雨季には毎年のように洪水が発生しています。表1は1997年から2007年までに発生した主な洪水の月別発生件数とその割合を整理したものです。これより洪水は6月から10月に集中していることが分ります。
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