レポート/資料

2016年度 No.1「軽井沢スキーバス事故をきっかけとした交通事故防止策について」

2016.4.1

1.はじめに

平成28年1月15日に長野県軽井沢町でスキーツアーの貸切バス(乗員乗客41名)が転落事故を起こし、乗員乗客15名が死亡、乗客26名が重軽傷を負う重大事故が発生した。バス事故の中では過去30年で最多の死者が発生する大変痛ましい事故となった。

平成24年4月に群馬県の関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近で発生したツアーバス事故や平成26年3月に富山県・小矢部川サービスエリアで発生した高速バス事故など、重大事故が発生するたびに国土交通省は制度改正等の安全対策を講じてきた。国土交通省では1月22日に事故対策検討委員会を設置し、再発防止策の検討を行っており、執筆時点において7回開催され、平成28年夏までに総合的な対策について、最終とりまとめを行う予定である。

本稿では、軽井沢スキーバス事故について、事故状況及び本検討会における中間報告の内容並びに、貸切バス事業者向けに平成28年1月25日付で国土交通省から運輸安全マネジメント評価制度について新たな運用通達が発出されたことから、本通達の内容について概説する。

2.軽井沢スキーバス事故の概要及び監査結果

軽井沢スキーバス事故の概要は以下の通りである。

(1)軽井沢スキーバス事故の概要

①事故の発生状況

平成28年1月15日(金)午前1時55分頃、長野県軽井沢町の国道18号線碓氷バイパス入山峠付近において、スキーツアーの催行者であるY社から運行を委託されたX社の貸切バス(乗員乗客41名)が反対車線を越えて、道路右側に転落し、乗員乗客15名(乗客13名・乗員2名)が死亡、乗客26名が重軽傷を負う重大事故が発生した。国土交通省が公開した現場近くの監視カメラによれば現場250m手前から中央線を越えて走行する場面が映し出されており、その後の軽井沢署の調べでは、ガードレールに接触し、転落する直前の速度は現場法定速度である時速50㎞の2倍近い時速96kmであったことが分かっている。また、転落直前はギアがニュートラルで制御不能な状態にあったことも分かっている。(大型車の運転に不慣れな運転手がエンジンの回転数が合わない状態でギアを操作して誤ってニュートラルに入ったのではないかとみられる。)

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