レポート/資料

「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」の解説【交通リスク情報 2011年度 No.2】

2011.11.1

昨今、「悪質自転車の摘発強化」「自転車の歩道通行へ」等、自転車の運転マナーやルール遵守に関するニュースや新聞記事等に触れる機会が増えている。

特に、2011年10月25日、警察庁は、これまでの対策の成果定着と方法や効果の点検、関係機関・団体等と連携しつつ実効があがるよう効果的な対策を推進することを求めた「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」(以下、単に「総合対策」という。)を各管区警察局長、各都道府県警察長等に通達した。

本書では、この総合対策のポイントについて概説する。

1. 経緯

(1) 自転車関連事故の傾向

交通事故件数及び交通事故による死者数は減少傾向にあるが、自転車が関連する交通事故件数及び死亡事故件数は横ばいである(図1-1、1-2)。そのため、交通事故に対する自転車事故の割合は年々増えており、2010年においては、交通事故件数全体の20.9%、交通事故による死者数全体の13.5%を占めるまでになった。また、その原因として法令違反が認められるものが65.0%を占める(図1-3)など、自転車に係る交通状況は悪化する傾向にある。

そこに、2011年3月11日に発生した東日本大震災以降のライフワークの変化もあり、さらに自転車ブームが加速したが、制動装置不良自転車や悪質運転者の増加による事故も増加し、深刻な社会問題と化した。

(2) 行政の主な取組

警察庁は、これまでも「自転車の交通秩序整序化に向けた総合対策の推進について」などを決定する等、各種対策を推進してきた。今回の通達は、従来の対策をさらに加速させ、新たな規制標識や罰則等の整備が進むことが予想される。

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