どうなる?自転車の歩道通行 “青切符” 導入で悪質な場合は反則金も~ユーザーの意識と運転実態に関するアンケート調査(2025)結果より
[このコラムを書いた研究員]

- 専門領域
- 食料安全保障、マイクロファイナンス
- 役職名
- 主席研究員
- 執筆者名
- 新納 康介 Kousuke Niiro
2026.1.7
2026年4月より、16歳以上の自転車運転者による交通違反に対して交通反則通告制度(青切符)が導入されます。その中には自転車による歩道通行に対する反則金(6,000円)も含まれています。こうした中、MS&ADインターリスク総研は2025年8月に自転車ユーザーの意識と運転の実態を探ろうと、1,000人を対象にアンケート調査を実施しました。歩道通行や反則金などについてどのように感じているのか、アンケート調査の結果から見えてきたことを紹介します。
流れ
- 自転車対歩行者の死亡・重傷事故のうち歩道での事故が4割
- 自転車ユーザーの4分の3が「車道通行の原則」を認識している
- 約7割が「自転車で歩道を通行したことがある」
- 約2割が歩道通行は「問題ない」、車道通行の危険性を訴える声も
- “青切符”導入で歩道通行に反則金「高すぎる」の声が過半数
- 高い反則金だと違反を十分に抑止できない?
自転車対歩行者の死亡・重傷事故のうち歩道での事故が4割
警察庁の統計によると、2024年に発生した自転車が関連する交通事故67,531件のうち、対歩行者の事故は3,043件でした。この値は2016年の2,281件から上昇傾向にあります。また、歩行者が死亡又は重傷となった事故は、歩道上で最も多く発生しています。2024年に起きた自転車対歩行者の死亡・重傷事故340件のうち、歩道での事故は42.4%を占めました。
道路交通法によると自転車は「軽車両」と位置付けられ、「歩道又は路側帯と車道の区別のある道路」では、原則として、車道を通行しなければなりません。したがって、その原則からすると自転車が歩道を通行して歩行者と衝突することは、起こってはいけないことです。
自転車ユーザーの4分の3が「車道通行の原則」を認識している
自転車は、車道と歩道の区別のある道路では「車道通行が原則」となっていることは、自転車ユーザーにどの程度認識されているのでしょうか。本調査では、「詳しく知っている」および「ある程度知っている」の合計が75.7%となっています(図1)。
【図1】道路交通法では、自転車は、車道と歩道の区別のある道路では
「車道通行が原則」となっていることはご存じですか(n=1,000)

約7割が「自転車で歩道を通行したことがある」
本調査では、回答者の過去6か月間の自転車運転において「車道と歩道の区別のある道路で、歩道を通行したことがある」かについても聞いています。その結果、約7割の回答者が「ある」と回答をしています(図2)。本調査では、車道通行が原則と知りながら、自転車で歩道を通行していたという回答者は全体の約53%になりました。
【図2】車道と歩道の区別のある道路で、
歩道を通行したことがある(n=1,000)

約2割が歩道通行は「問題ない」、車道通行の危険性を訴える声も
本調査では、自転車で歩道を通行したことがあるとした回答者692名に、そのことについてどう思うかを聞きました。歩道通行は、問題はあるが、「自信がある」「多くの人がそうしている」「習慣を変えられない」と回答した合計は73.7%、「問題ない」とした回答者は19.2%でした(図3)。
また、回答者の中には「車道通行の危険性」を訴えるコメントもありました。「その他」の自由回答コメント50件のうち、多くが「車道通行の危険性」についてで、車道の交通量や車の速度への恐怖、事故リスクへの不安が歩道走行の主因となっています。つまり、車道通行が「怖い」、「危険」なため歩道通行はやむを得ないという考えがうかがえます。
【図3】歩道を通行することについて、
どのように思いますか(n=692)

警察庁は、状況によって自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められる場合には、自転車は歩道を通行することができるとしています。具体例として、道路工事や連続した駐車車両等のため車道の左側を通行することが難しいときや、著しく自動車の交通量が多い、車道の幅が狭いなど、通行すると事故の危険があるときなどは、自転車は歩道を通行できるとしています。
“青切符”導入で歩道通行に反則金「高すぎる」の声が過半数
2026年4月より、16歳以上の自転車運転者による交通違反に対して交通反則通告制度(青切符)が導入されます。本調査では自転車による歩道通行の反則金(6,000円)について、その金額に対する考えを聞きました。最も多かった回答は「高すぎる」で55.9%でした(図4)。
【図4】「歩道通行」の反則金6,000円が導入される事に
ついて、 どのようにお考えですか(n=1,000)

反則金を「高すぎる」と感じる傾向がみられる理由には、回答者が「自分が違反者となる可能性が高い」と考えたことによる反発がうかがえます。交通反則通告制度(青切符)のパブリックコメントにおいては自転車の歩道通行を取り締まることに多くの批判が集まったことが報道されています。
反則金が高いとかえって違反を十分に抑止できない?
多くの人が反則金を「高すぎる」と感じている状況は、違反の抑止にどのような影響を及ぼすのでしょうか?カナダ司法省の調査研究によれば、社会の法制度や刑罰が公正であると認識されるかどうかが法の遵守に影響するそうです。
軽微な違反や一般的な違反が「些細」なものと広く認識されている場合、反則金が「過剰で不当」なものと思われてしまうことがあります。その結果、法律に対する敬意が低下し、全体的な遵守率が低下する可能性があるということです。この考えに従えば、本調査の結果は、反則金6,000円の設定は自転車の歩道通行を十分に抑止できない可能性を示唆しています。
警察庁は、自転車の歩道通行については、交通事故につながる危険な運転行為をした場合や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった、「悪質・危険な行為」が取り締まりの対象となるとしています。単に自転車が歩道を通行しているという違反については、「指導警告」が行われ、取り締まりの対象とはならないということです。
制度および罰則が公正であると認識されるかどうかについては、それらがどのように適用されるかも影響するでしょう。青切符制度の導入は自転車ユーザーの行動にどのように影響するでしょうか。2026年4月以降の交通事故の発生状況について注視していきたいと思います。
【参考文献】
Department of Justice Canada (2024)” The Contraventions Act Program: Using behavioural science to identify evidence-based criteria for setting fine levels”
警察庁交通局(2025)『自転車を安全・安心に利用するために~自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入~自転車ルールブック』
警察庁ホームページ「交通事故発生状況」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/index_jiko.html
警察庁ホームページ「自転車交通安全」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/portal/accident.html#02
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