レポート/資料

経営リスクとしての介護離職【企業リスクインフォ(2014年1月)】

2014.1.1

はじめに

ヒト・モノ・カネに代表される経営資源の中で、多くの経営者が最も重要な要素であると認識しているのはヒト(社員)ではないだろうか。特に経験を積んで重要なポストに就き、中心となって事業を推進している40代、50代の社員は貴重な存在である。しかし、そうした社員が親の介護を理由に突然退職する「介護離職」が増えてきている。本稿では、介護離職の背景と企業としての現状の問題点、対策検討の方向性について解説する。

1. 介護離職の背景

① 40代、50代の親の世代の要介護認定率

図1を見ると、年齢が上がるほど要介護認定率が上昇し、80歳~84歳だと4人に1人、85歳以上だと2人に1人程度が要介護認定を受けていることが分かる。ちょうどこの世代は40代、50代の社員の親の世代に当たり、夫婦双方の両親が健在だとすると、いずれか1人以上は要介護認定を受けている計算になる。

このように、40代、50代は親の介護に直面し始める時期に重なるのである。

② 「介護の担い手」として家族に依存する公的介護保険制度

次に介護サービスの利用状況を見る。厚生労働省が2006年に行った介護サービス施設・事業所調査によると、居宅サービス事業所の利用者数は約406万人、介護保険施設の利用者数が約78万人であった(表1参照)。介護保険施設の利用者は全体の16%程度に留まり、残りは自宅で生活しながら介護サービスを利用していることが分かる。

職員による24時間介護を受けられる介護保険施設と異なり、自宅で生活を続ける場合は介護サービスを利用したとしても同居家族が全く関与しないで済む状況は考えにくく、どうしても介護に同居家族の手が必要になってくる。

現状の公的介護保険制度は「介護の担い手」として、同居家族に大きな役割を求める制度であると言える。

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