レポート/資料

2012年度 No.6「海外取引に関する主要リスクとその対処法」

2013.3.1

はじめに

昨今、国内市場が伸び悩む中、いわゆる6重苦(円高、高い法人税、自由貿易協定、製造業への労働規制、CO2削減目標、電力不足)も重なり、メーカーをはじめとして海外取引への参入もしくは拡大の機運が高まってきている。しかし、中堅・中小企業においては、海外取引のノウハウや海外取引に精通した人材が不足しており、海外取引への参入・拡大の障壁となっている。本稿では、初めて海外取引に参入する中堅・中小企業メーカーを想定して、海外取引の概要について触れた上で、海外取引に失敗しないためのリスク管理について検討する。

1. 海外取引の概要

①取引形態

企業が海外市場に取組む場合、その取引形態としては、大きく(ア)直接・間接貿易による海外市場に参入する方法(イ)資本投資を伴い海外市場で製造・販売を行う方法(ウ)ブランドやライセンスを提供する方法などがあり、それぞれの取引形態ごとに想定されるリスクは異なる。例えば、直接貿易でスポット取引を行う場合と100%出資の海外現地法人による生産・販売を行う場合とでは、さらされるリスクの内容や大きさが異なることは容易に理解できる。なお、本稿では、初めて海外取引に参入する中堅・中小企業メーカーを対象としているため、(ア)の直接貿易による海外市場への参入に焦点を当てて解説する。

②取引の仕組み

海外取引においては、国内市場における取引とは異なる仕組み(決済や通関等)が採用されており、様々な関係者が関与することとなる。以下では、通常採用される決済手法である国際荷為替取引の仕組みとその関係者について概念図を示す。

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