コラム/トピックス

2023年の改正道路交通法からみる「Autonomous(自動化)」

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
交通リスクマネジメント(次世代モビリティ関連)
役職名
リスクマネジメント第二部 次世代モビリティグループ 上席コンサルタント
執筆者名
迫本 祐介 Yusuke Sakomoto

2023.7.10

次世代モビリティ領域の業務に従事していると「CASE」「MaaS」という言葉を聞かない日はない。CASEは「Connected(コネクト化)」「Autonomous(自動化)」「Shared&Services(サービス化)」「Electric(電動化)」の技術・サービスにより変革する新しい移動手段の形であり、MaaSは、様々なモビリティをひとつのサービスとして提供するマルチモーダルの提供、交通以外の様々なサービスと連携・統合しひとつのサービスとして提供することである。自動車産業は100年に一度の大改革の時代に入っていると言われている。

特に「Autonomous(自動化)」の領域において2023年4月1日に大きな動きがあり、「レベル4」の特定自動運行許可制度を盛り込んだ改正道路交通法が施行された。自動運転は技術的要件・運転主体・走行可能エリア等によってレベル0~5の6段階に分類されており、「レベル4」は特定条件下においてシステムが全ての運転操作を行う完全自動運転となる。これにより、特定条件下で自動運転を行う際は、ドライバーに依存しない走行が可能となる。

今回の改正道路交通法施行により、全国で初めて福井県永平寺町で「レベル4」での自動運転移動サービスが2023年5月21日に開始されている。当該サービスは2021年度より経済産業省と国土交通省が共同で進めてきた「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」にて、自動運転移動サービスの実現に向けた実証実験がサービスとして社会実装したものである。これ以外にも、全国各地で産官学が連携し、自動運転に関する実証実験を行っており、社会実装化に向けた取組が加速している。

 自動運転移動サービスは公共交通空白地域での活用、高齢者や障がい者等交通弱者の移動手段の改善、ドライバー高齢化問題の解決等、様々な社会課題解決の手段として期待されている。また、ヒューマンエラーによる事故を減らし、交通事故の抑制にも高い期待が寄せられている。

一方で、自動運転移動サービス普及に向けた課題もある。技術面では、あらゆるシチュエーションにおいて高度な信頼性と安全性が確保できるか。正確なデータ処理、障害・イレギュラーへの対応能力、セキュリティの確保、システムの冗長性等、多くの要素に対して高い信頼性と安全性の向上が求められている。また、サービス利用者が自動運転の性能・機能・運転状態等を正しく理解できるか等の課題がある。経済的側面では、自治体・事業者が自動運転車両やインフラへの投資・維持を行い、事業性を高めることができるか。社会的側面では、トロッコ問題のような人命を選ぶような状況でどのような判断をするべきかという倫理的な課題がある。

これらの課題に対して取組むことで自動運転の普及が促進されることが期待されており、当社はリスクベースの視点から新たなソリューションを活用し、全国各地で実施されている実証実験の支援を行っている。今後も「Autonomous(自動化)」を含む次世代モビリティ領域において取組の安全性向上を図り、社会課題の解決に貢献していきたい。

以上

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