レポート/資料

自転車ユーザーの意識と運転の実態について ~アンケート調査結果より(2025年版) 【リサーチレター 2025 No.3】

RM NAVI会員(登録無料)のみ全文閲覧できます

[このレポートを書いた専門家]

会社名
MS&ADインターリスク総研株式会社
部署名
基礎研究部
執筆者名
主席研究員 新納 康介 Kousuke Niiro

2025.10.1

【要旨】

  • 「周囲と比べて自分は交通ルールを守っており自転車の安全運転ができている」かの設問に対して「強くそう思う」と「そう思う」の合計は83.1%であった。しかし、実際には回答者の大半にヘルメット非着用、歩道通行がみられた。
  • 回答者の8割以上が過去6か月間に、ヘルメット非着用での運転の経験がある。ヘルメット着用の努力義務については、9割近くの回答者が認識していたことを考えると対照的である。
  • 回答者の15.1%が過去6か月間に、「ながらスマホ」運転の経験がある。2024年11月の罰則強化後も「ながらスマホ」は根絶できていない。
  • 回答者の7割近くが過去6か月間に、歩道通行の経験がある。自転車の車道通行の原則に関しては、回答者の約75%が認識していたことを考えると対照的である。
  • 自転車損害賠償責任保険の加入率は58.1%であった。回答者が住む都道府県の自転車損害賠償責任保険に関する条例の認識(義務、努力義務、条例無し)については、48.2%が「わからない」、23.0%が「誤答」であった。
  • 2026年4月より、16歳以上の自転車運転者による交通違反に対する交通反則通告制度(青切符)が導入されることについて、「全く知らない」と「よく知らない」の回答の合計が35.1%であった。ながらスマホ運転の反則金(12,000円)は妥当とする声が多い一方、歩道通行の反則金(6,000円)は高すぎるとの意見が過半数を占めた。
  • 性別・年齢別によるデータ分析では、安全運転の自己評価は年代が上がるほど減少し、「ながらスマホ」運転は40代男性に多いことが明らかになった。

目次

1.調査の目的・背景

2.調査の概要

3.調査結果

  1. 自転車を運転する目的および所有する自転車のタイプ
  2. 安全運転に関する自己評価
  3. 自転車に関する交通ルールの認識
  4. 自転車に関する交通ルール遵守の実態
  5. 自転車損害賠償責任保険の加入実態
  6. 交通反則通告制度の認知度と評価

4.考察:調査結果データの性別・年代別分析

  1. 安全運転に関する自己評価が高い回答者
  2. ながらスマホ運転をしたことがある回答者

5.まとめ

1.調査の目的・背景

自転車とは、道路交通法において軽車両の一つとされ、「人の力により運転する二輪以上の車」と定義されている。我が国の自転車保有台数は推計で約5,200万台であり、運転免許を必要としない気軽に使える交通手段として定着している。その一方で、警察庁の統計によれば2024年の自転車が関わる交通事故は67,531件と、交通事故全体の23.2%を占めた。この割合は2016年の18.2%から増加傾向にある。

また、自転車ユーザーの交通違反も無視できない。2024年の自転車が関わる交通事故のうち、自転車側に交通違反があった事故の割合は70.7%となり、ここ数年で最も高い値となった。2024年の自転車の交通違反による検挙件数は51,564件と2016年の数の約3.7倍となっている。

そのような状況の中、わが国の自転車ユーザーの意識やその自転車運転の実態を探るべく、MS&ADインターリスク総研は2025年8月に自転車ユーザー1,000人に対してアンケート調査を実施した。本稿では、本調査の結果およびデータ分析の結果について紹介する。

2.調査の概要

(1)調査実施期間

2025年8月18日~21日の間にインターネットによる調査を行った。

(2)回答者数

1,000人(男性500人、女性500人)
15~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50歳~59歳、の年齢5区分ごとに男女各100人。

(3)回答者属性

① 自転車を運転する頻度

頻度 人数
週に2~3回程度 375
週に4回以上 625
合計 1,000

② 職業

職業 人数
会社員 342
会社経営・役員 5
公務員 24
自営業・自由業 48
団体職員・各種法人 6
派遣社員 30
パート・アルバイト 166
学生 224
専業主婦・主夫 89
無職(定年退職者を含む) 59
その他 7
合計 1,000

③ 居住地域

単位:人

都道府県 回答者数 都道府県 回答者数
全体 1,000 三重県 1
北海道 32 滋賀県 7
青森県 6 京都府 19
岩手県 4 大阪府 112
宮城県 13 兵庫県 48
秋田県 8 奈良県 5
山形県 8 和歌山県 7
福島県 4 鳥取県 1
茨城県 19 島根県 5
栃木県 10 岡山県 16
群馬県 14 広島県 28
埼玉県 100 山口県 8
千葉県 62 徳島県 1
東京都 197 香川県 5
神奈川県 81 愛媛県 12
新潟県 10 高知県 6
富山県 1 福岡県 25
石川県 5 佐賀県 2
福井県 2 長崎県 0
山梨県 4 熊本県 5
長野県 7 大分県 3
岐阜県 8 宮崎県 2
静岡県 18 鹿児島県 3
愛知県 61 沖縄県 5

3.調査結果

(1)自転車を運転する目的および所有する自転車のタイプ

回答者の自転車を運転する主な目的(図1)および所有する自転車のタイプ(図2)は以下のとおりである。

【図1】あなたが自転車を運転する目的をお知らせください(いくつでも) (n=1,000)

あなたが自転車を運転する目的
あなたが自転車を運転する目的

【図2】あなたがお持ちの自転車のタイプをお知らせください (n=1,000)

あなたがお持ちの自転車のタイプ
あなたがお持ちの自転車のタイプ

(2)安全運転に関する自己評価

本調査では冒頭に、回答者へ「周囲と比べて自分は交通ルールを守っており自転車の安全運転ができている」かを聞いた。「強くそう思う」と「そう思う」の回答の合計は83.1%となった。

【図3】周囲と比べて、自分は交通ルールを守っており自転車の安全運転ができていると思いますか (n=1,000)

周囲と比べて、自分は交通ルールを守っており自転車の安全運転ができている
周囲と比べて、自分は交通ルールを守っており自転車の安全運転ができている

(3)自転車に関する交通ルールの認識

① ヘルメット着用の努力義務化

2023年4月から自転車乗車時におけるヘルメット着用が努力義務化されたことについて、9割近くの回答者が認識をしている。

【図4】2023年4月からすべての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたことはご存じですか (n=1,000)

2023年4月からすべての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたことを知っている
2023年4月からすべての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたことを知っている

② ながらスマホの罰則

2024年11月から、自転車運転中にスマートフォン・携帯電話等の画面を注視あるいは通話をしながら自転車を運転(ながらスマホ運転)して事故などの危険を生じさせた場合は、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっている。このことについて、「全く知らない」と「よく知らない」の合計が35.6%であったが、半数を超える回答者が「知っている」と回答している。

【図5】ながらスマホ運転をして事故などの危険を生じさせた場合は 「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっていることはご存じですか (n=1,000)

ながらスマホ運転をして事故などの危険を生じさせた場合は「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっていることを知っている
ながらスマホ運転をして事故などの危険を生じさせた場合は「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっていることを知っている

③ 車道通行の原則

自転車は、車道と歩道の区別のある道路では車道通行が原則となっていることの認識に関しては、「詳しく知っている」および「ある程度知っている」の合計が75.7%となっている。

【図6】道路交通法では、自転車は、車道と歩道の区別のある道路では 「車道通行が原則」となっていることはご存じですか (n=1,000)

道路交通法では、自転車は、車道と歩道の区別のある道路では「車道通行が原則」となっていることを知っている
道路交通法では、自転車は、車道と歩道の区別のある道路では「車道通行が原則」となっていることを知っている

(4)自転車に関する交通ルール遵守の実態

① ヘルメットの非着用

本調査では、回答者の過去6か月間の自転車運転において「ヘルメットを着用しなかったことがあるか」について聞いた。回答者の8割超が…

ここまでお読みいただきありがとうございます。
以下のボタンをクリックしていただくとPDFにて全文をお読みいただけます(無料の会員登録が必要です)。

会員登録で レポートを全て見る