レポート/資料

北海道・三陸沖後発地震注意情報発出時の企業対応について【BCMニュース(2026年2月)】

[このレポートを書いたコンサルタント]

会社名
MS&ADインターリスク総研株式会社
部署名
リスクコンサルティング本部 リスクマネジメント第四部
BCM第二グループ
執筆者名
アシスタントマネジャー 豊住 健 Ken Toyozumi
主任コンサルタント 川端 悠仁 Haruyoshi Kawabata

2026.2.18

要旨
  • 青森県東方沖地震により「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が運用開始以来初めて発令された事態を受け、本稿では「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の概要と、発令時の企業の対応ポイントを整理
  • 発令時の対応ポイントは、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)と大きく変わらないが、「雪や寒さ」対応が必要なことに留意が必要

令和7年12月8日、青森県東方沖で地震が発生し、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」(以下「後発地震注意情報」)が運用開始以来初めて発令された。

後発地震注意情報は、南海トラフ地震臨時情報と同様、想定震源域で先発地震が発生した場合に、相対的に大規模地震の発生可能性が高まっていることを周知し、個人や企業に対して特別な注意(備えの強化や避難準備など)を促すことを目的としているが、本稿では、そもそも「後発地震注意情報」とは何かを、南海トラフ地震臨時情報との比較を交えながら整理したうえで、同情報が発令された際に企業が取るべき対応のポイントに言及する。

1. 北海道・三陸沖後発地震注意情報の概要

まずは、そもそも後発地震注意情報とは何かを、南海トラフ地震臨時情報との比較を交えながら整理をする。なお、参考までに今回発生した青森県東方沖地震の概要も整理したので合わせてご参照いただきたい。

(1) 想定地震

後発地震注意情報が想定している地震は、日本海溝及び千島海溝を震源域とするMw9級(日本海溝モデル:Mw9.1、千島海溝モデル:Mw9.3)の巨大地震である。(図1)

図1:今回発生した地震と想定されていた地震の震源域の比較
千島海溝モデルと日本海溝モデルの想定震源域
千島海溝モデルと日本海溝モデルの想定震源域
出典:内閣府「北海道・三陸沖後発地震注意情報防災対応ガイドライン」(令和7年3月18日)
参考:青森東方沖地震の震源域
参考:青森東方沖地震の震源域
出典:気象庁地震火山部「北海道・三陸沖後発地震注意情報について」(令和7年12月9日)

そして、想定巨大地震発生時には、以下のとおり、広域にわたって強い揺れや津波に見舞われ、大きな被害が発生する可能性があることにあらためて留意が必要となる。

① 震度分布(図2参照)

図2:想定巨大地震の震度分布の比較
千島海溝モデル及び日本海溝モデルの想定震度分布図
千島海溝モデル及び日本海溝モデルの想定震度分布図
出典:内閣府「北海道・三陸沖後発地震注意情報防災対応ガイドライン」(令和7年3月18日)
参考:青森東方沖地震の震度分布図
千島海溝モデル及び日本海溝モデルの想定震度分布図
出典:地震調査研究推進本部地震調査委員会「青森県東方沖の地震の評価」(2025年12月8日)

② 津波浸水分布(図3参照)

図3:津波浸水想定図例
津波浸水分布例(青森県)
津波浸水分布例(青森県)
出典:出典:日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会「日本海溝・千島海溝沿いの最大クラスの津波による浸水想定 青森県[日本海溝(三陸・日高沖)モデル]」(令和2年4月21日)
津波浸水分布例(北海道)
津波浸水分布例(北海道)
出典:出典:日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会「日本海溝・千島海溝沿いの最大クラスの津波による浸水想定 青森県[千島海溝(十勝・根室沖)モデル]」(令和2年4月21日)

③ 主な被害想定(表1参照)

表1:想定被害の概要(令和7 年12 月15 日14:00 時点)
主な項目 日本海溝モデル 千島海溝モデル 参考:青森県東方沖地震
建物(全壊及び焼失) 約220,000棟 約84,000棟 ー
死者数 約199,000人 約100,000人 0人
負傷者数 約22,000人 約10,000人 47人
道路被害箇所 約6,500箇所 約1,300箇所 地震発生直後は、点検通行止めが発生したが、
12月15日には、高速道路・有料道路の通行止めはなく
直轄国道で1路線1区間が通行止めとなっている
鉄道被害箇所 約2,800箇所 約1,300箇所 12月9日5:00時点では、運転見合わせが発生。
12月15日時点では概ね運転再開をしたが、
JR東日本 八戸線で橋脚の損傷などを
約20箇所確認され、運転再開時期は未定
上水道断水人口 約497,000人
※復旧に約2週間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
約302,000人
※復旧に数日
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
当初は複数自治体で断水が発生
(最大で約1,360戸程度の断水、後に復旧が進み
12月9日11:00時点で約145戸へ減少)。
12月15日報告では一部断水(約150戸)が残存
下水道支障人口 約3,440,000人
※復旧に約6週間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
約921,000人
※復旧に約5週間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
ー
停電軒数 約221,000軒
※復旧に数日間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
約84,000軒
※復旧に数日間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
地震直後に局所的停電が発生したが、
12月15日報告時点までに
地震による大規模な停電は解消され、
電力需給に問題はない
固定電話不通回線数
(※通信規制は考慮しない数)
約162,000回線
※復旧に数日間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
約65,000回線
※復旧に数日間
(除く津波浸水により建物全壊した需要家)
被害情報なし
携帯電話停波基地局率
(※通信規制は考慮しない数)
約2%
※被災直後は輻輳により
大部分の通話が困難
※復旧に数日間
約1%
※被災直後は輻輳により
大部分の通話が困難
※復旧に数日間
被害情報なし

出典:内閣府「青森県東方沖を震源とする地震に関する被害状況等について」と中央防災会議 防災対策実行会議 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について【定量的な被害量】を参考にMS&ADインターリスク総研が作成

(2) 対象地域

後発地震注意情報の対象地域として政府は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による震度分布や津波高の想定において、震度6弱以上の揺れまたは津波高3m以上の津波が想定される地域を基本として以下の自治体を指定している。

南海トラフ地震臨時情報の対象地域と合わせて確認すると、太平洋側のほぼすべての地域が、後発地震注意情報もしくは南海トラフ地震臨時情報の対象地域となっている。また、千葉県と茨城県においては、後発地震注意情報と南海トラフ地震臨時情報の両情報の対象となっている地域が含まれることに留意が必要である。

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