大企業の福利厚生の満足度を調査 20代女性の期待と不満とは?
[このコラムを書いた研究員]

- 会社名
- MS&ADインターリスク総研株式会社
- 部署名
- 基礎研究部
- 執筆者名
- 主席研究員 新納 康介 Kousuke Niiro
2026.4.1
近年、日本では、定期昇給やベースアップによる賃金引き上げに加え、「第3の賃上げ」として福利厚生※の充実が注目されています。人手不足が深刻化する中、企業が優秀な人材を採用・定着させるために、社員が安心して働き続けられる環境づくりが求められている背景があると考えられます。
こうした中、MS&ADインターリスク総研では、2025年12月に大企業(社員2,000人以上)に勤務する社員1,000名を対象としたアンケート調査を実施しました。
今回はこの調査結果の中から、特徴的な傾向が見られた20代女性(125名)の回答に焦点を当てて、回答内容から見えることを分析していきます。
※ 法律により企業に実施が義務付けられる「法定福利厚生」と、企業が独自に定める「法定外福利厚生」があり、この記事での福利厚生は「法定外福利厚生」を指します。
流れ
- 大企業の社員の約半数が福利厚生に満足していない
- 20代女性は福利厚生への不満が特に高い傾向あり
- 就職・転職を検討する際に福利厚生を重視するか
- 20代女性は福利厚生への期待も高い
- 女性が重視する福利厚生にはどんなものがあるか
- まとめ
大企業の社員の約半数が福利厚生に満足していない
本調査では、回答者が勤務する企業の福利厚生に対して満足しているかどうかについて聞きました。「やや満足」と「とても満足」の合計は50.7%、「あまり満足していない」「全く満足していない」「強く不満であり、転職を検討する要因の一つである」の合計は49.3%でした(図表1)。
【図表1】現在の福利厚生について満足していますか(n=1,000)


20代女性は福利厚生への不満が特に高い傾向あり
図表2は、図表1のデータから、福利厚生に対して、「全く満足していない」「強く不満である、転職を検討する要因の一つである」とした回答者の割合を性別年代別で示しています。ここでは20代女性の12.0%が「強く不満である、転職を検討する要因の一つである」と回答していることがわかります。
【図表2】「全く満足していない」「強く不満である」とした回答者(性別年代別)


就職・転職を検討する際に福利厚生を重視するか
本調査では回答者が就職・転職を検討する際に、その企業の福利厚生の有無・内容を重視するかどうかについて聞いています。その結果、「重視する」と「やや重視する」の合計は77.6%となりました(図3)。
【図3】就職・転職を検討する時に福利厚生の有無・内容を重視しますか (n=1,000)


20代女性は福利厚生への期待も高い
図表4は、図表3のデータから、福利厚生の有無・内容を「重視する」とした回答者の割合を性別年代別で示しています。ここでは20代女性の31.2%が「重視する」と回答しています。以上のことから、20代女性は勤務先の福利厚生に対する期待が高いため、不満も抱きやすいことが推測されます。
【図表4】就職・転職を検討する時に福利厚生の有無・内容を重視する回答者(性別年代別)


女性が重視する福利厚生の内容
それでは、20代女性はどのような福利厚生を希望しているのでしょうか。本調査では、回答者に具体的にどのような福利厚生を重視しているのかを聞いています。本稿では、女性の年代別(20代、30代、40代)の回答結果を紹介します(図表5)。
設問に挙げた主な福利厚生について、重視する度合いは年代によって異なりますが、20代女性は他の年代と比べて重視する度合いが全体的に低い傾向がみられました。前述のとおり、福利厚生の有無・内容を最も重視するのが20代女性であることを考慮すると、この結果は、20代女性が設問に挙げられた主な福利厚生以外のものを企業に期待している可能性が考えられます。
【図表5】福利厚生制度として何を重視しますか(女性年代別)


まとめ
本調査の結果から、20代女性は勤務先の福利厚生に対する期待が高く、そのため不満も抱きやすいという事が推測されることについて述べました。また、この層は、いわゆる一般的な福利厚生に加えて、さらに付加価値のある制度を求めていることがうかがえます。例えば本調査の設問には含まれていなかった、美容、ヘルスケア、女性特有の健康課題解決(フェムテック)などが当てはまるかもしれません。
福利厚生の充実は社員の定着やモチベーション向上にも影響するといわれています。企業が優秀な人材を採用・定着させるためには、性別や年代ごとの多様なニーズを把握し、それに応じた福利厚生制度の整備が重要です。今後は、社員の声を定期的に反映させる仕組みや、時代の変化に合わせた新たな制度の検討も求められるでしょう。
【参考文献】
・住友生命保険(2024)『企業の福利厚生制度に関するアンケート調査結果』
・生命保険協会(2024)『生命保険事業概況』
・生命保険文化センター(2023)『2022(令和4)年度生活保障に関する調査』
・日本経済団体連合会(2020)『第64回福利厚生費調査結果報告』
アンケート調査「大企業に勤務する社員の福利厚生(団体保険、GLTD)に関する意識について」
https://rm-navi.com/search/item/2412