令和8年4月施行の自転車に対する交通反則通告制度(青切符)の概要と今後求められる対策【交通リスク情報(2026年6月)】
2026.6.1
- 自転車関連事故は依然として毎年多数発生しており、交通違反の検挙件数も令和5年以降急増している。
- 道路交通法の改正により、令和8年4月から自転車にも交通反則通告制度(青切符制度)が導入され、信号無視や一時不停止、運転中の携帯電話の使用等を対象に、最大12,000円の反則金が科される。
- 業務上・通勤上で従業員の自転車利用がある事業者に求められる「自転車リスク対策」について概説する。
1. 自転車事故及び交通違反の現状
(1) 自転車の交通事故の発生状況
警察庁の「令和7年における交通事故の発生状況について」によれば、自転車が関係する事故は依然として多く発生しており、年によって増減はあるものの、決して軽視できない水準で推移している。交通事故全体の件数は、平成27年の53.7万件から令和6年の29.1万件へと減少傾向にある。
一方で、自転車関連事故は令和2年から令和6年にかけて、年間7万件前後で概ね横ばいの状況が続いている。このため、交通事故全体に占める自転車関連事故の割合は近年増加しており、過去10年でみると平成27年の18.4%から令和6年の23.2%へと上昇している。
図1-1 自転車関連事故件数及び全交通事故に占める構成比の推移


(警察庁交通局「自転車を安全・安心に利用するために-自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入-【自転車ルールブック】」をもとに当社にて整理)
(2) 自転車の交通違反の検挙件数
一方、自転車の交通違反に係る検挙件数は、近年著しく増加している。これは、自転車による法令違反が疑われる事案に対して、警察による取締りが強化されていることも一因である。検挙件数は平成27年の12,018件から令和6年には51,564件へと、過去10年でみると4倍以上に増加しており、特に令和5年以降、その増加幅が顕著となっている。
図1-2 自転車の交通違反の検挙件数の推移


(警察庁交通局「自転車を安全・安心に利用するために-自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入-【自転車ルールブック】」をもとに当社にて整理)
(3) 自転車による過去の重大事故
自転車事故でも、加害者に高額な損害賠償が命じられた事例がある。日本損害保険協会の調べによると、自転車側の過失によって歩行者と衝突し、相手に死亡や重い後遺障害を負わせたケースや、自転車同士の衝突で、1億円近い損害賠償が認められたケースもある。このように、自転車は手軽な移動手段である一方、事故を起こせば自動車と同様に重大な責任を負う可能性がある。そのため、事業者としても、従業員への安全教育や保険の確認を徹底する必要がある。なお、事業者として講じるべき対策例については、本稿の後段で述べる。
表1-1 自転車での加害事故例
| 事故の概要 | 判決認容額※ |
|---|---|
| 男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。 | 9,521万円 |
| 男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、警ら用緊急自動車(パトロールカー)の追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。警察官は、頭蓋骨骨折等で約2か月後に死亡。 | 9,330万円 |
| 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。 | 9,266万円 |
(日本損害保険協会「自転車事故の実態と備え」をもとに当社にて整理)
※判決認容額とは、上記裁判における判決文で加害者が支払いを命じられた金額(金額は概算額)。
上記裁判後の上訴等により、加害者が実際に支払う金額とは異なる可能性がある。