電動キックボード利用者の飲酒運転の実態は?シェアリング利用者500人にアンケート調査を実施
[このコラムを書いた研究員]

- 専門領域
- 食料安全保障、マイクロファイナンス
- 部署名
- 基礎研究部
- 執筆者名
- 主席研究員 新納 康介 Kousuke Niiro
2026.7.1
2023年の道路交通法改正により、電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として新たに区分されました。その手軽さから、電動キックボードのシェアリングサービスは急速に拡大しています。
普及が進んでいる一方で、電動キックボードによる交通違反の検挙数は年間4万件を超えており、その中でも飲酒運転が課題とされています。
こうした中、MS&ADインターリスク総研は2026年1月、電動キックボードのシェアリングサービス利用経験者500人を対象にアンケート調査を実施し、この中で、飲酒運転に関しても質問しました。本稿では、その概要と海外で行われた関連調査の結果を紹介します。
流れ
- 電動キックボードの急速な普及と増える飲酒事故
- 電動キックボード運転時に「守れていなかったかもしれない」交通ルール
- 運転頻度と「守れていなかったかもしれない」交通ルールの関係
- 飲酒運転をしていたかもしれない回答者の交通ルール理解度と安全運転の自己評価
- 海外の電動キックボードの飲酒運転に関する調査研究(スイス、ノルウェー)
- 飲酒運転に対する意識が低い電動キックボードユーザーはどんな人?
- まとめ
電動キックボードの急速な普及と増える飲酒事故
普及が進む電動キックボードでは、シェアリングサービスのアプリダウンロード数が500万件を超え、稼働中の電動キックボードの台数は2万台以上にのぼっています。
その一方で、警察庁によりますと、2025年1月から11月末までに発生した、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車が関わる飲酒事故は42件と、事故全体に占める割合は11.8%でした。この飲酒事故率は、自転車の0.8%、一般原動機付自転車の0.6%と比べると10数倍となっています。
こうした中、MS&ADインターリスク総研がシェアリングサービス利用経験者500人を対象に実施したアンケート調査では、飲酒運転に関連して次のような質問も行いました。
- ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う交通ルールは何ですか
- あなたの現在の電動キックボードに関する交通ルールの理解度についてお知らせください
- あなたは他のユーザーと比べて、電動キックボードを安全に運転できていると思いますか
電動キックボード運転時に「守れていなかったかもしれない」交通ルール
まず、電動キックボード運転時に「守れていなかったかもしれない」交通ルールについてです(図表1)。「守れていなかったかもしれない」交通ルールのうち「飲酒運転の禁止」を挙げたのは17.4%でした。
【図表1】ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う交通ルールは何ですか(n=500)


運転頻度と「守れていなかったかもしれない」交通ルールの関係
次に、図表1の結果について、電動キックボードの運転頻度別の集計を行いました(図表2)。その結果、いずれの項目についても、運転頻度が高い回答者ほど「守れていなかったかもしれない」という回答の割合が高くなる傾向が見られました。
運転頻度が高くなると交通違反をしてしまう可能性も増えるため、この相関関係は自然なものですが、「飲酒運転の禁止」について週に2~3回以上運転する回答者の36.2%が「守れていなかったかもしれない」とした点は無視できません。
【図表2】ご自身が電動キックボードを運転された時に、「守れていなかったかもしれない」と思う交通ルールは何ですか(運転頻度別)
| 飲酒運転の禁止 | 車道の左側通行 | ながらスマホ運転の禁止 | 二人乗りの禁止 | 二段階右折 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 週に2~3回以上(n=116) | 36.2% | 39.7% | 21.6% | 22.4% | 26.7% |
| 週に1回程度(n=118) | 16.9% | 32.2% | 16.1% | 11.9% | 16.9% |
| 月に1回程度(n=83) | 9.6% | 18.1% | 12.0% | 6.0% | 16.9% |
| 月に1回未満(n=183) | 9.3% | 10.9% | 7.7% | 8.2% | 13.7% |
飲酒運転をしていたかもしれない回答者の交通ルール理解度と安全運転の自己評価
ここでは、図表1で示した、「飲酒運転の禁止」を「守れていなかったかもしれない」と回答した87名の分析を行いました。この回答者群は、本調査における「電動キックボードに関する交通ルールの理解度」の設問において、「詳しく知っている」と「主なものについて知っている」の合計が93.1%(図表3)でした。
また、「他のユーザーと比べて、電動キックボードを安全に運転できているか」の設問において、「そう思う」と「ややそう思う」の合計が91.9%でした(図表4)。この回答者群の交通ルール理解度と安全運転の自己評価がいずれも高い傾向が見られます。
【図表3】あなたの現在の電動キックボードに関する交通ルールの理解度についてお知らせください(n=87)


【図表4】あなたは他のユーザーと比べて、電動キックボードを安全に運転できていると思いますか(n=87)


海外の電動キックボードの飲酒運転に関する調査研究(スイス、ノルウェー)
本調査の結果は、交通ルールは十分に理解していて、安全運転に自信がある人でも電動キックボードで飲酒運転をしてしまう可能性があることを示しています。似たような傾向はスイスで2025年に行われた電動キックボードの事故防止に関する調査結果にも見られました。そこでは、回答者の85%が「飲酒後は電動キックボードの運転はできない」という認識でしたが、48%が過去に飲酒運転をしたことを認めています。
また、ノルウェーでは2023年に電動キックボードの運転前に「飲んでも安全だと認識されているアルコールの量」についてアンケート調査が行われました。その結果、回答者の約56%が電動キックボードに乗る前にグラスワイン1杯相当のアルコールを摂取しても安全であると回答しました。ちなみに、同国の基準ではグラスワイン1杯相当のアルコールは飲酒運転となる可能性が極めて高くなります。
飲酒運転に対する意識が低い電動キックボードユーザーはどんな人?
前述のノルウェーの調査では、飲んでも安全だと考えるアルコールの量が高い傾向がみられるのは、「若い人」「シェアリングサービスを頻繁に利用する人」「教育水準の低い人」であることが指摘されています。図表2で示した、運転頻度が高い回答者ほど飲酒運転の禁止が守れていなかったかもしれないと回答する傾向は、本調査の結果が上記の指摘の一部と符合する可能性を示しています。
まとめ
現在、ノルウェーのオスロでは、深夜から早朝にかけて、電動キックボードのシェアリングサービスの提供を止める規制が行われています。このような措置は飲酒運転の抑止に効果がある反面、公共交通機関が利用できない時間帯の移動手段を提供するという、本来のシェアリングサービスの目的を損ねることになります。日本でもこのような措置が導入されるのでしょうか。電動キックボードの利便性とリスクの妥協点をどうすべきかの議論が進むことを期待します。
【参考文献】
警察庁(2025)『パーソナルモビリティ安全利用官民協議会第12回資料3』
警察庁(2025)『事務局説明資料 第13回パーソナルモビリティ安全利用官民協議会』
警察庁(2026)『事務局説明資料 第14回パーソナルモビリティ安全利用官民協議会』
警察庁『特定小型原動機付自転車に関する主な交通ルールについて』
日本マイクロモビリティ協会(2025)『日本マイクロモビリティ協会安全対策について』
Karlsen & Fyhri (2021) “The joy and trouble with e-scooters”
Hackenfort et al. (2025) “Prevention of e-scooter accidents”
Mehdizadeh et al. (2023) “Drunk or Sober? Number of alcohol units perceived to be safe before riding e-scooter”
電動キックボードユーザーの意識と運転の実態 ~アンケート調査結果より(2026年版)
https://rm-navi.com/search/item/2443
「自分は周囲より安全運転ができている」と考える人が7割超? “自信過剰”をもたらす認知バイアスの罠とは?
https://rm-navi.com/search/item/1953