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中国における2025~2026年の風水災概況と企業の事業継続計画(BCP)策定【中国風険消息<中国関連リスクニュース>(2026年6月)】

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[このレポートを書いたコンサルタント]

会社名
インターリスク上海
執筆者名
主管 葛 永正

2026.6.17

要旨
  • 近年、風水災は中国各地に大きな影響を及ぼしており、2025年には記録的な降雨や複数の秋台風の上陸により、多くの地域で大規模な被害が発生した。
  • 予測によれば、2026年も中国南部を中心に降水量が平年を上回り、台風の勢力も強まる見込みであり、華東・華南沿海部への影響集中が懸念される。
  • 中国国内では災害対応計画を整備している企業も多いが、災害復旧対策の整理が不十分なケースが多く、初動対応と災害復旧の双方を考慮した事業継続計画(BCP)の策定が求められている。
  • BCPは策定後もPDCAサイクルによる継続的な改善が必要であり、あわせて定期的な机上演習を実施することが重要である。

1.2025年の風水災の概況

2025年の中国では、全国的に降水量が平年を上回り、雨季の開始時期も例年より早かった。特に秋季の降水量は大幅に増加し、台風の発生数も多く、秋台風の活動が活発であったことから、年間を通じて異常気象が頻発した。

2025年の全国平均降水量は668mmとなり、1951年以降の平均値を4.5%上回った。また、大規模な降雨が頻発し、華南南部や湖南省北西部などでは累積降水量が1,600mmを超えた地域も見られた。季節別では、夏季および秋季の降水量が特に多かった。夏季の全国平均降水量は336mmで、平年比1.3%増加した。一方、秋季の全国平均降水量は162.1mmとなり、平年同期比33.6%増加した。これは1961年の統計開始以降、同時期として過去最高の水準であった(図1)。さらに、7月23日から29日にかけて北京市では147時間に及ぶ継続的な降雨が発生し、一部地域では累積降水量が500mmを超えた。これは同地域の年間平均降水量に匹敵する規模であった(図2)。

図1 2016~2025年 全国平均降水量の推移(mm)

2016~2025年 全国平均降水量の推移(mm)
(出典:2025年中国気象公報)

図2 豪雨により浸水した北京市密雲区の集合住宅

豪雨により浸水した北京市密雲区の集合住宅
(出典:央広網)

台風活動についても、2025年は中国へ影響を及ぼした台風の発生数・上陸数ともに平年を上回った。

年間の台風発生数は27個で、このうち10個が中国へ上陸した(図3)。2025年の台風は進路変化が大きく、特に秋季の活動が活発であった。複数の台風が中国へ繰り返し上陸し、特に9月から10月にかけては4個の台風が連続して上陸するという比較的まれな状況が発生した。

その結果、多くの地域で強風・豪雨による被害が発生した(1)。中でも、9月24日に広東省陽江市へ上陸した台風「樺加沙」は、超大型台風へ発達し、その勢力を81時間以上維持した。強風・豪雨・高潮が同時に発生したことで、複合的な災害を引き起こした。この災害では、珠海市において深刻な海水の逆流が発生したほか(図4)、森林、太陽光発電設備、市政インフラ、通信設備、水利施設等が広範囲にわたり損壊し、インフラおよび地域経済へ大きな損失をもたらした(2)

図3 2016~2025年 中国に上陸した台風数の推移

2016~2025年 中国に上陸した台風数の推移
(出典:温州台風網)

図4 台風「樺加沙」による海水の逆流で浸水した車両

台風「樺加沙」による海水の逆流で浸水した車両
(出典:新華社)

2.2026年の風水災予測

2026年も中国南部では、6月を中心に台風・豪雨シーズンを迎える。地球温暖化をはじめとする気候変動の影響により、異常気象発生リスクは引き続き高い状況にある。各種予測によれば、2026年は浙江省南部、福建省の大部分、広東省南部および海南省などで、降水量が平年同期比20~50%程度増加すると予測されている。また、年間で中国へ上陸する台風は7~9個程度と見込まれており、台風シーズンの開始・終了時期はいずれも平年より早く、勢力も平年を上回る見込みである。主な影響地域は華東および華南の沿海部になると予測されている(3)

中国沿海部の主要省・直轄市における2026年台風・豪雨シーズンの風水災予測を表1に示す。

表1 2026年 主要沿海省・直轄市における風水災予測
省・市 災害種別 予測内容
広東省(4) 水害 7~9月の総降水量は平年比10~30%増となる見込み。豪雨・洪水発生リスクが高い。
台風 上陸または重大な影響を及ぼす台風は5~6個と予測される。勢力はやや強く、強台風または超大型台風発生の可能性が高い。台風シーズン開始時期も早まる見込み。
福建省(5) 水害 雨季前半の総降水量は平年比10~20%減となる見込み。
台風 7~9個の台風が影響を及ぼし、そのうち1~2個は重大な影響を及ぼす可能性がある。
浙江省(6) 水害 浙江省中部および南部では豪雨・洪水・都市型浸水が発生しやすく、強い対流性気象災害のリスクが高い。
台風 「前半多く後半少ない」傾向となる見込み。3~5個の台風が影響を及ぼし、そのうち1~2個は上陸または重大な影響を及ぼす可能性がある。
上海市(7) 水害 異常気象発生リスクが高い。降水量はやや多く、中心市街地では短時間強雨や対流性降雨が発生しやすい。
台風 2個程度の台風が影響を及ぼす見込みであり、上海へ直接上陸する可能性もある。勢力は平年より強く、秋台風の活動も活発となる見込み。
江蘇省(8) 水害 年間降水量は平年を上回る見込み。6月は平年を下回る一方、7~8月は平年を上回ると予測される。
台風 台風活動の活発化時期が早まる見込み。2~3個の台風が影響を及ぼし、そのうち1個は比較的大きな影響をもたらす可能性がある。

3.企業の風水災対策の現状とBCP導入の必要性

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