【お客さま事例】『日本全国住宅資産データ』で災害後の住宅再建と街の復興を分析 関西大学 越山健治教授
2026.7.1
大学4年生の時に阪神・淡路大震災を経験し、それ以来、防災研究に取り組んでいる関西大学社会安全学部の越山健治教授。
越山教授が2024年から自身の研究で活用しているのが、MS&ADインターリスク総研の『日本全国住宅資産データ』です。これは、防災・減災の研究や対策に関わる関係者向けの、全国の住宅に関連する情報(築年区分・住宅価格・階数など)を100m・250mのメッシュでカバーしたデータベースです。
越山教授は、このデータをどう活用し、どのようなことを明らかにしようとしているのか。詳しく話を伺いました。
流れ
- 被災後の“復興プロセス”を予測する
- 『日本全国住宅資産データ』は、住宅価格をベースに被害額を算出できる
- 復興に必要となる費用をシミュレーションできる
- 全国規模で細かいメッシュサイズのデータに大きな価値
- 大規模災害に備えてどのような住宅支援策が必要になるのか、詳しく分析したい
被災後の“復興プロセス”を予測する
ーーはじめに、越山教授の研究内容について教えていただけますでしょうか。
越山)災害が起きたあとに、その地域が住宅を含めてどのように復興・再建していけるのかを研究するのがメインテーマです。災害で住宅を失った人たちが、再び住宅と暮らしを確保するプロセスをどのように描けるのか、予測できるのかを研究しています。


関西大学社会安全学部 越山健治教授
大学4年生の時に阪神・淡路大震災を経験し、
それ以来防災研究に取り組む。
災害後の復興では、単に壊れた住宅を元通りに建て直すだけではなく、地域の将来の姿に合わせて、どこに住宅を再建するのかや、被災した人が再び住宅を確保するためにどのような支援策が必要かを考えなければなりません。
私は研究を通して、復興の進め方や支援の方法を分析し、どのような復興の形が望ましいのかを明らかにしたいと考えています。
『日本全国住宅資産データ』は、住宅価格をベースに被害額を算出できる
ーー越山教授の研究の中で、『日本全国住宅資産データ』をどのように活用しているのですか。
越山)地震・火災・水害などが発生したときに、その地域にどれくらいの被害額が出るのかを算出する際に使っています。特に、住宅価格をベースに被害額を算出するときに、利用価値があると考えています。
また『日本全国住宅資産データ』には、その建物がいつ頃建てられたかがわかる「建築年区分」のデータがあるので、古い住宅が多い地域については、地震・水害・火災などのハザード情報も地図上で重ね合わせて、災害に弱い地域の特徴を分析しています。
『日本全国住宅資産データ』が提供する主なデータ
(2025年9月時点)
| 対象物件 | 日本全国の住宅物件 | |
|---|---|---|
| メッシュサイズ | 100mメッシュ・250mメッシュ | |
| 建物属性情報 | 物件種別 | 戸建/集合住宅/不明 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造/鉄骨造/防火木造/非防火木造/不明 | |
| 建築年区別 | 1970年以前/1971年-1980年/1981年-1990年/1991年-2000年/2001年-2010年/2011-2020年/2021年以降/不明 | |
| 階数区分 | 3階以下/4階-6階/7階-10階/11階-20階/21階-30階/31階以上/不明 | |
| 数値情報 | ・建物/家財再調達価額(円) ・住宅棟数(件) |
|
また、学生の卒業研究でも活用しています。洪水などの水害リスクの高い地域では、安全な場所へ住宅を移転するケースがあります。卒業研究では「被害を受けた場合の損失」と「安全な場所へ移転するためにかかる費用」を『日本全国住宅資産データ』も活用して、地域ごとに分析しました。
復興に必要となる費用をシミュレーションできる
ーー防災研究において、『日本全国住宅資産データ』を使うことで得られるメリットはどのような点にあるのでしょうか。
越山)住宅と家財の「再調達価額」があるのが一番大きいですね。災害が起きたときの被害額や、必要な住宅支援額を計算するのに、非常に使いやすいデータだと考えています。
再調達価額のデータがあるので、ある特定の場所で火災や地震が発生した場合の住宅被害の量に対して、どの地域でどのくらいの支援額を投入しなければならないのかを考えるうえで役に立つと考えています。


防災研究の分野では、「どのくらいの被害が出るか」は試算されるケースが多いのですが、災害が起きた後に「どのくらいの支援額を投じて、そこに暮らす人たちの住宅を再建し、地域をどう復興していくか」までは、まだ十分に分析されていないんです。
特に、道路や堤防といったインフラは、復旧計画や費用が比較的詳しく試算されていますが、住宅については「何戸壊れるか」の推計にとどまり、「誰が再建できるのか」「どこに住み直すのか」「地域がどう変わるのか」といった細かな検討までは行われていません。
一方で『日本全国住宅資産データ』を活用すれば、例えば、南海トラフ地震が起きた場合に、どの地域でどれくらいの住宅の被害額が出るのかを推計することができます。さらに、その後10年間で住宅がどの程度再建されるのかや、復興にどれくらいの費用が必要になるのかをシミュレーションによって分析することもできます。
全国規模で細かいメッシュサイズのデータに大きな価値
ーー『日本全国住宅資産データ』を購入する前は、必要なデータをどのように集めて分析されていたのでしょうか?
越山)地図データや自治体ごとの住宅統計を別々に集めて、自分で組み合わせながら分析していました。ただ、正直に言ってかなり骨の折れる作業でした。
その点『日本全国住宅資産データ』は、住宅の価格や築年数などの情報が250mメッシュの単位※で、かつ全国規模で整理されていて、国勢調査などの統計データと組み合わせて分析できるところに大きな価値を感じています。
※越山教授が購入した2024年4月時点。2024年8月から100mメッシュサイズでもデータの販売を開始しています。
防災研究では、人口統計や経済統計など、さまざまなデータを重ね合わせて地域の特徴を分析しますが、これまでは住宅に関する詳細な全国規模のデータがほとんどありませんでした。もし『日本全国住宅資産データ』と同じデータを自分で集めようとしたら、数千万円規模のコストがかかると思います。
大規模災害に備えてどのような住宅支援策が必要になるのか、詳しく分析したい
ーー今後『日本全国住宅資産データ』をどのように活用していきたいと考えていますでしょうか?
越山)まず、授業でもっと活用していきたいと考えています。私が受け持っている授業の中に「GIS※実習」というコマがあります。GISを活用して、人口・災害・住宅などの地理データを重ね合わせて地域課題を分析する授業なのですが、『日本全国住宅資産データ』も活用することで、より現実の課題に近い実践的な学習にできればと考えています。
GIS:Geographic Information Systemの略で、地理的位置を手掛かりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術(引用元:国土地理院)
あとは、複数ライセンスを購入して、学内の経済や保険の研究者にも使えるようにしていますので、互いの活用方法について、情報共有もしていきたいと思っています。


あと一番は自分自身の研究で、もっと活用していきたいですね。
災害後の住宅の再建にどれくらいの費用がかかるのか、どのような支援制度が適切なのかを検討するには、『日本全国住宅資産データ』のように住宅の状況を細かく把握できるデータが欠かせません。
災害後の住宅再建には、地域ごとに異なる課題があります。被害の大きさや住宅の特徴によって、必要となる支援の内容や費用も変わっていきます。大規模災害に備えて、各市町村でどのような住宅支援策が必要になるのかを、地域ごとに詳しく分析したいと考えています。
(本インタビューは、2026年5月1日に実施されたものです)
【防災・減災の研究・対策の関係者向け】
日本全国住宅資産データ
『日本全国住宅資産データ』は、全国の住宅関連情報(築年区分・住宅価格など)を100m・250mメッシュでカバーしたデータベースです。扱いやすいデータ構成で被害シミュレーションや経済分析などにご活用いただけます。
信頼度の高い情報ソースを組み合わせて開発し、住宅棟数や価格データなどが含まれ、CSVのファイル形式を採用しているので、読み込みや分析も簡単に行うことができます。

ご要望に応じたプランもご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。