【お客さま事例】福島県いわき市「1日でも早いり災証明書の発行を」被害認定調査の効率化を目指す
2026.7.14
令和になって以降、豪雨災害や地震に相次いで見舞われた福島県いわき市。そのたびに、市民の住家に大きな被害が出て、市は被害の程度を認定する調査に追われました。
この被害認定調査によって、被災者が各種支援制度などを受ける際に必要となる「り災証明書」が発行されるため、いわき市としてはできるだけ早く対象となる住家の調査を終えたかったといいます。ただ、調査を迅速化するにしても限界があり、災害が度重なる中、もどかしさを感じていました。
そのいわき市が2026年4月に導入したのが、被害認定調査を効率化できるサービス、MS&ADインターリスク総研の『損害割合カリキュレータ』です。
導入に至った背景について、いわき市に詳しく話を伺いました。
流れ
- 令和に入ってから相次いだ豪雨災害と地震
- 損害割合が自動で算出・集計され大幅な効率化が期待できる
- 引き続き、り災証明書の発行業務の効率化に取り組む


インタビューに答えていただいたいわき市役所の皆さま。左上から時計回りに、危機管理部危機管理課・遠藤比咲晃氏、本田良輔係長、財政部税務課・新妻浩係長、財政部資産税課・菊地吉信係長、・鈴木武史氏。
令和に入ってから相次いだ豪雨災害と地震
ーー『損害割合カリキュレータ』を導入した背景を教えていただけますか。
いわき市)令和に入ってから豪雨災害と地震が相次いだことが一番です。令和元年の台風19号による豪雨災害、令和3年の福島県沖を震源とした震度5強の地震、令和5年の台風13号による豪雨被害と度重なる災害に見舞われ、多くの市民が被災しました。
| 災害 | 発生日 | 被害概要 |
|---|---|---|
| 台風19号 | 令和元年(2019)10月 |
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| 福島県沖地震(震度5強) | 令和3年(2021)2月 |
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| 台風13号 | 令和5年(2023)9月 |
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※1 いわき市災害対策本部「災害報告書」2022年2月28日
※2 いわき市災害対策本部「災害報告書」2021年12月28日
※3 いわき市災害対策本部「災害報告書」2024年3月31日
被災者が行政の各種支援制度などを受けて生活を再建するためには、まずは「り災証明書」が必要なのですが、発行するためには私たち自治体が建築士と一緒に被害認定調査を行い、損害割合(損傷率)の程度に応じて「全壊」や「半壊」といった被害区分を判定しなければなりません。
※内観調査(第2次調査)の場合
被災者のことを考えれば1日でも早く判定を行い、り災証明書の発行につなげたいのですが、これまで調査は紙ベースで行われ、主に次のような作業を行う必要がありました。
- 現地調査を行い、被災した住家の図面を作成・被害を記入
- 市役所に戻り、上記結果を調査票に転記
- 損害割合を算出・集計・判定
このため、1班2人で1日に行える調査は、2件程度が限界でした。
被害認定調査の作業フロー


災害が相次ぐ中で「1日も早くり災証明書を発行したい」という課題感がいっそう明確になり、被害認定調査を効率化できる「損害割合カリキュレータ」の導入に至りました。
損害割合が自動で算出・集計され大幅な効率化が期待できる
ーー『損害割合カリキュレータ』の導入の決め手はどのような点にありましたか。
いわき市)タブレット端末に被害の状況を入力すると損害割合が自動で算出・集計されることで作業フローの大幅な効率化が期待できる点です。これまでは現地調査を行ったあと、市役所に帰ってきてから損害割合を算出・集計しなければなりませんでした。現地調査で疲れている中で人間の手で計算していたのでミスも発生することから、チェック体制も必要でした。この部分がなくなるのは、非常に助かります。
『損害割合カリキュレータ』の画面のイメージ


タブレット端末上で住家被害の程度を色で塗り分けると、右下に自動的に損害割合が算出・集計される。
また、タブレット端末でデータを管理・閲覧できて、そのデータをどの職員でも見ることができることのメリットも大きいと考えています。
2011年の東日本大震災では調査票が膨大な量になり、私たちの執務スペースがある建物とは別の建物に保管スペースを設けているのですが、今でも被災した住民からり災証明書の再発行申請があり、そのたびに書類を取りに行く必要があります。これがデータ上ですべて管理できるようになれば、再発行もだいぶスムーズにできるようになると考えています。
またいわき市では、り災証明書の発行業務などをNTT東日本の『被災者生活再建支援システム』で行っていて、『損害割合カリキュレータ』がそのシステムを前提として開発されている点も大きかったです。
引き続き、り災証明書の発行業務の効率化に取り組む
ーー今後発生するかもしれない自然災害に向けて、どのように取り組んでいこうと考えていますか。
いわき市)実際に災害が起きると、いろいろな部署から応援をもらって、その職員たちが日替わりで被害認定調査を行うことになります。私たちと違って普段は災害に関わる仕事をしていない職員たちですので、事前に『損害割合カリキュレータ』を使った訓練を行いたいと考えています。その点の習熟度が上がれば、間違いなく1日に行える調査件数は増えると思います。


2026年5月にいわき市役所の災害行政に関係する部署向けに実施した『損害割合カリキュレータ』のデモンストレーション。
いわき市に限った話ではありませんが、災害が起きれば市としては市民の生活再建を最優先に考え、全員で災害対応に当たることにしています。生活再建のためにまず必要となるのがり災証明書ですので、その発行業務をできる限り迅速に行うことがいわき市に課された命題の1つでもあります。
今回の『損害割合カリキュレータ』の導入もそうですが、り災証明書の発行業務を効率化できるように引き続き取り組んでいきたいと思います。
(本インタビューは、2026年5月13日に実施されたものです)
【自治体様向け】被害認定調査の効率化を可能にするデジタルソリューション
MS&ADインターリスク総研では、「損害割合カリキュレータ」も含めて、自治体様が被害認定調査を効率的に実施できるようにするためのデジタルソリューション「被害認定調査DXパッケージ」をご用意しています。
その中心となるサービスが、災害時の初動体制の円滑な立上げを支援する「調査量エスティメータ」と、今回、いわき市さまが導入した「損害割合カリキュレータ」の2つです。
当社が積み上げてきた多くの経験と実績に基づき、調査量の見積から、調査計画策定、実際の調査、職員の研修までトータルで支援することで自治体の皆さまの負担を軽減し、迅速な罹災証明書発行業務を支援します。
