
<第89号>「電気火災の発生原因と防火対策」
2019.12.1
要旨
- 電気設備機器を要因とする火災(以下、電気火災)の件数は火災全体の中で高い比率を占めており、過電流・過負荷、放熱異常、接触部過熱、短絡、半断線、漏電および放電等、種々の事象によって発生している。
- 電気火災の多くは電気設備機器や絶縁材料の経年劣化、不適切な使用方法や維持管理等による損傷、接続部の緩み、接触不良等によって発生している。電気火災を防止するためには電気設備機器の正しい取扱いに加え、日常点検や定期的な機器点検などの適切な保守・保全活動を行うことが重要である。
1. 電気火災の現状
東京消防庁による電気火災に関する過去5年間(平成26年~30年)の統計データ1)2)に基づき、電気火災の状況、発火源・火災に至った理由の傾向等について、以下に示す。
(1) 過去5年間の電気火災の状況
過去5年間(平成26年~30年)の電気火災の状況を表1に示す。同期間の全火災件数は減少傾向にあり、平成26年(4,804件)から平成30年(3,972件)にかけて約17.3%減少している。しかしながら、電気火災件数は年々増加傾向にあり、平成26年(1,020件)に対し平成30年(1,205件)は約18.1%増加し、全火災件数に対する比率は30.3%を占める状況となっている。
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