ESGリスクトピックス 2023年度 No.2
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2023.5.1
<ネイチャーポジティブ>
生物多様性国家戦略2023-2030が閣議決定、2030年までのネイチャーポジティブを明記
政府は3月31日、日本国内における生物多様性の保全と持続可能な利用のための次期戦略「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定した。2030年ミッションとして「2030年までにネイチャーポジティブ(自然再興)*を実現する」ことを掲げる一方、自然や生態系への配慮や評価が組み込まれた社会経済活動を推進することなども織り込んだ。
(参考情報:2023年3月31日付 環境省HP)
<気候変動>
環境省が地域金融機関向けガイドを相次ぎ公表、ESGエンゲージメントとTCFD開示の促進で
環境省は3月31日、「ESG地域金融実践ガイド2.2」を公表した。「2050年カーボンニュートラル」に向けて脱炭素化の取り組みが加速する中、地域社会においてそれを実現するために、地域金融機関に期待される役割は非常に大きくなっている。しかしながら地域社会の主要な担い手である中小企業には、不確実性の高い長期を見据えて価値創造につなげるためにESG経営を推進するという発想が、まだ十分に浸透していない。
(参考情報:2023年3月31日付 環境省HP、2023年4月7日付 環境省HP)
<不正競争防止法>
2022年、営業秘密侵害摘発件数が過去最多 警察庁まとめ
警察庁は3月23日、「令和4年における生活経済事実犯の検挙状況等について」を公表した。それによると、2022年内に全国の警察が摘発した企業情報の持ち出しなどの営業秘密侵害事件が前年比6件増の29件で、統計のある13年以降で最多だったことが分かった。検挙数は年々増加傾向にある。営業秘密に対する企業の防衛意識の高まりや、雇用の流動化による転職の増加が背景と見られる。
(参考情報:2023年3月 警察庁HP)
<サイバー>
サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0を公表、経営者必須の原則や実施事項を改定
経済産業省は「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer. 3.0」を公表した。2017年のVer. 2.0以来の改訂。15年の初版では、「サイバーセキュリティリスクは経営問題」と明示。その後、「経営者は、サイバーセキュリティリスクを認識」と語調と強めたVer. 2.0に加えて、Ver3.0では「サイバーセキュリティリスクが自社のリスクマネジメントにおける重要課題」として、経営者にリスク認識のいっそうの引き上げを求める表現になった。
(参考情報:2023年3月31日付 経済産業省HP)
<情報開示>
東証がCGコード未対応の説明例まとめ、形式的対応に警告、3年連続「検討中」が140社
東京証券取引所は3月31日、「建設的な対話に資する『エクスプレイン』のポイント・事例について」を公表した。上場企業が情報開示においてコーポレートガバナンス・コード(CGコード)が遵守を求める各原則を実施しない場合に記載する“エクスプレイン”について、22年12月時点での好事例や不十分な例をまとめた。現状でエクスプレインの理由や説明が不十分なケースが散見されるとして、投資家が適切に理解できるよう、その時点での取り組み状況や個別事情を踏まえた説明の必要性を求めた。上場会社が自社の開示内容を自主的に点検する際の活用を期待する。
(参考情報:2023年3月31日 日本取引所グループHP)
<情報開示>
CGコード原則、サステナビリティ関連の遵守が低調、東証白書
東京証券取引所は4月4日、「東証上場会社コーポレートガバナンス白書2023」を公表した。2007年からの隔年発行で今回が9回目。コーポレートガバナンス・コード(CGコード)の全83原則の実施状況を掲載している。今回は、サステナビリティ課題への対応の必要性が明示された21年のコーポレートガバナンス・コード(CGコード)改訂後初めての白書で、サステナビリティ情報開示への言及やデータの記載が増えた。一方で、サステナビリティ関連の原則の遵守は低調だった。
(参考情報:2023年4月4日付 日本取引所グループHP)
<生成AIのリスク>
対話型・生成AIの利用普及と企業活用時の留意点
米OpenAIが開発した対話型・生成AI のChatGPTが話題沸騰中だ。ChatGPTは大量にテキストデータを学習したAIが、質問に対して自分と会話するかのように文章で回答してくれる。その活用法は、情報収集からテキストの作成・要約・校正、翻訳、プログラミングの作成まで多岐にわたる。業務の効率性が求められるビジネスにおいて様々な利用場面が想定される。
企業にとっての関心事はその有用性だけでなく、利用に伴うリスクである。
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