
GPIFが「優れたTNFD開示」を初公表、トップ2社は気候との統合報告で高評価
2025.10.9
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2025年8月29日、国内株式の運用を委託する運用会社20社が選んだ「優れた TNFD 開示」を公表した。それによると、アサヒグループホールディングスとキリンホールディングスの2社が、それぞれ最多の6社から支持を受けた。
GPIFが同日に公表した年次の「2024年度 サステナビリティ投資報告」に掲載した。
最多得票の2社のうち、アサヒグループホールディングスは、TNFDとTCFDを統合したフレームワークに基づきサプライチェーンを包括的に分析した点や、2つの農産物に焦点を当て財務影響を分析した上で定量的に開示した点などが評価された。
一方のキリンホールディングスは、①TNFDの主要な要素を網羅している②テーマやトピック別に財務影響を定量化している③地域ごとの特性を踏まえたマテリアリティ評価を実施し、測定指標とターゲットを開示している――などの点が評価された。
また、東急不動産ホールディングス、住友林業、王子ホールディングス、日本電気、三菱UFJフィナンシャル・グループの5社も、運用会社3社以上から高評価を得た。
運用会社は選考に際しての評価ポイントに、▽自然資本に関する取組・開示が企業価値向上に実効的なものであるか(企業の持続性への確信度の向上や資本コストの低減に結び付くといえるか)▽財務・企業価値との関わりがマテリアリティに応じて示されているか▽ネイチャーポジティブへの貢献が定量的に示されているか――などを挙げた。
優れたTNFD開示企業の選定は今回が初めて。運用会社と投資先企業との間の建設的な対話(エンゲージメント)の実現に向け、対話の前提となる企業側の情報開示のベストプラクティスを選定・公表するのが目的。GPIFが2024年度に上場企業対象に実施したアンケートでは、TNFD開示をする上での課題に、参考となり得る他社の好事例が少ないことが挙がっていた。
【参考情報】
2025年8月29日付 年金積立金管理運用独立行政法人「2024年度 サステナビリティ投資報告」HP:
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/esginvestments/2024_sustainability.html
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