熊本地震の被災自治体を支援 住家の被害認定調査の現場で見えたこと
2026.10.27
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町では最大震度7を観測しました。
大規模災害の発生後、被災自治体では、被災者の生活再建に必要な「り災証明書」の発行に向け、住家の被害認定調査を進める必要があります。
今回、MS&ADインターリスク総研(以下、当社)では宇城市、美里町、氷川町を対象に、住家の被害認定調査を効率化するツール「損害割合カリキュレータ」の操作研修や、現地調査への同行などの支援を実施しました。
被災自治体で行った現地支援を通じて見えてきた、「損害割合カリキュレータ」の活用効果と、災害時の円滑な運用に向けた取り組みを紹介します。
流れ
- 被災自治体で進められる住家の被害認定調査
- 現地に入り、デジタルツールの活用をサポート
- 現地支援で見えた活用効果と、円滑な運用に向けた取り組み
被災自治体で進められる住家の被害認定調査
今回支援に訪れたのは、熊本県の宇城市、美里町、氷川町の3市町です。発災からおおむね1か月が経過し、現地では住家の被害認定調査が進み、第2次調査※1の申請受付が始まる時期を迎えていました。
※1 住家の被害認定調査には、被災した住家の外観を調査する第1次調査と内観を調査する第2次調査がある。
調査では、災害で住家が受けた損害割合に応じて「全壊」「半壊」などの被害の程度を判定します。その結果をもとに交付されるり災証明書は、被災者が生活再建に向けた各種支援を受ける際に必要になります。このため、大規模災害の発生後は、多数の住家を対象に調査を迅速に進める必要があります。
こうした中、宇城市や氷川町では、現地調査を行う担当者の8割ほどがほかの自治体からの応援職員でした。
このように被災自治体では、全国からの応援を受けながら多数の住家の被害認定調査を進める必要がありました。
現地に入り、デジタルツールの活用をサポート
当社が現地を訪れたのは、この住家の被害認定調査を効率化する「損害割合カリキュレータ」※2の操作研修と現地調査への同行を通じて、調査をサポートするためです。
※2 損害割合カリキュレータ:当社が提供する、タブレット端末で被災した住家の図面を作成し、損害割合を自動計算して、調査結果をデジタルデータで記録・管理できるツール。
3市町では、調査を担当する職員の大多数が「損害割合カリキュレータ」を初めて使う状況だったため、操作研修を実施しました。宇城市では、研修に加えて現地調査にも同行して、「損害割合カリキュレータ」の操作をサポートしました。
特に氷川町では、より円滑に調査が進められるよう9月15日から4日間、再び現地に入り、調査を担当する職員への操作補助や質疑応答を行いました。
現地支援で見えた活用効果と、円滑な運用に向けた取り組み
今回の支援では、「損害割合カリキュレータ」を活用することで、住家の損害割合の計算時間を短縮できたケースも確認されました。これにより、調査から結果をまとめるまでのプロセスが円滑に進み、応援職員の業務負担の軽減にもつながりました。
また、操作方法や疑問点をその場で確認できたことで、ツールを使うことへの心理的負担を減らしながら調査を進めることができました。応援職員も短期間で操作を習得し、円滑に調査へ参加できるようにもなっていました。
現地支援に当たった当社の担当者は、「現地で一つひとつ疑問を解消しながら操作をサポートできたことで、不安を軽減し、安心して調査を進めてもらえたと感じています」と振り返ります。
今回の現地支援を通じて、「損害割合カリキュレータ」の効果を十分に発揮するためには、導入するだけでなく、平時から操作に慣れ、災害時にも円滑に活用できる体制を整えておくことの重要性を改めて確認しました。
当社では、今回の現地支援で得られた知見を今後の取り組みに活かすため、「損害割合カリキュレータ」の操作性の改善や事前研修の充実、災害時に一定期間サポートできる体制の整備を検討していきます。
「損害割合カリキュレータ」は、タブレット端末で被災した住家の図面を作成し、損害割合を自動計算して、調査結果をデジタルデータで記録・管理できるツールです。作業時間を短縮できるなど、災害時の自治体の皆さまの業務効率化を実現します。
また、当社では自治体職員向けの住家被害認定調査員育成研修を実施しています。有事に慌てることなく、住家の被害認定調査・り災証明書の発行を円滑に進めるためにも、平時からの備えとしてぜひご活用ください。