能登半島地震の教訓が示す、要配慮者避難の実態と今後求められる取組み【医療福祉RMニュース(2026年2月)】
¥0
海外リスクインテリジェンスサービス
¥0
食品安全の視点で見る加工食品の海外輸出のリスク対策 【第3回】仕向地と日本との食品規制の違いと調査・対応のポイント
¥0
~運輸事業者における「内部監査」とは~
¥0
2026年3月末期限:機能性表示食品の初回自己点検報告 —届出者が今すぐ確認すべきこと
¥0
建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)算定・評価を促進する制度のポイントは?
¥0
【お客さま事例】地域の企業が脱炭素経営を“実践”できる仕組みを作る 中小企業向けに「脱炭素経営ワークショップ」を実施(主催:佐賀県/受託実施:温暖化防止ネット)
ーー松尾様が事務局長を務めるNPO法人温暖化防止ネットについて教えてください。
松尾)私たち温暖化防止ネットは、温暖化対策を推進する法律に基づいて、佐賀県の「地球温暖化防止活動推進センター」に指定されています。環境省が進めている「デコ活※1」という脱炭素につながる“新しい豊かな暮らし”を拡げていく取り組みの推進役として地域で活動しています。


NPO法人温暖化防止ネット 松尾真理子事務局長
具体的には、県民の皆さまが省エネ・脱炭素につながる製品やサービスを無理なく選べるように後押しをしたり、企業の皆さまに対して、脱炭素経営が進むように支援を行ったりしています。
※1 デコ活…「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称であり、二酸化炭素(CO₂)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む"デコ"と活動・生活を組み合わせた新しい言葉。引用元:環境省デコ活Webサイト
ーー県内企業の脱炭素に向けた取り組みの現状を、どのように見ていますか?
松尾)「脱炭素経営」を軸にお話をさせていただくと、行政側としては、企業が脱炭素に対応できないと県内産業が将来的に競争力を維持・発展できなくなるという危機感を持っていて、企業支援や情報発信に力を入れていると感じています。
一方で、佐賀県の産業の大半を占める小規模事業者を含めた中小企業では、脱炭素の必要性は認識していても、具体的な取り組みに踏み出せていない企業が多い状況だと感じています。


佐賀市中心部(画像:stock.adobe.com)
例えば、大企業との取引がある企業では、取引先から脱炭素に関するアンケートの依頼を受けるなどのきっかけで、近い将来に温室効果ガスの排出量算定に取り組まなければいけないという認識はあるものの、具体的にどの程度の取り組みの水準が求められていて、いつまでに対応すべきなのかなどが見えていないため、取引先の出方を待っているという状況が見受けられます。
また、行政機関と取引のある企業では、行政主催の脱炭素に関するセミナーに参加しているものの、脱炭素経営に関心があるから参加しているというよりは、取引先としての行政機関との関係を維持したいという考えから参加している面もあるように思います。
ただ、脱炭素に関する関心は確実に高まっていると感じています。事業者向けに脱炭素経営の推進に取り組み始めたのが4、5年前くらいになるのですが、その頃は、行政主催でセミナーを開催しても2、30人集めるのにも苦労しました。現在は、行政や金融機関、商工団体などのご協力も得て、参加者が150人を超える状況です。
参加者からは、企業の取り組み例をもっと知りたい、こういったセミナーを定期的に開催してほしいといった意欲的な声が聞かれます。
今は、すでに温室効果ガスの排出量削減の取り組みが根付いている企業も一定数あり、企業ごとに取り組みのステージに差が出てきていると感じています。
ーーそうした県内の現状に対して、温暖化防止ネット様として脱炭素を推進していく上でどのような課題を感じていますか?
松尾)課題は大きく3つあると考えています。


まず1つ目は、社内体制と実務の面でのハードルがあります。佐賀県内の企業はほとんどが小規模事業者を含めた中小企業ですので、温室効果ガスの排出量算定に必要なデータの取得や、削減計画を実行する担当者の確保が難しかったり、担当者がいたとしてもノウハウが不足していたりする現状にあります。
2つ目は、外部の専門機関をうまく活用することができていないことが挙げられます。専門家の支援を受けたいと思っていても、どこに相談したらよいかわからないといった課題感を持っていたり、コスト負担がネックになったりして、小規模な事業者ほど適切な支援を受けられていないと思っています。
そして3つ目の課題は、社会的な要請や制度の変化への備えに関してです。2027年3月期から適用が開始されるSSBJ基準※2の影響もあり、今後は取引先から温室効果ガスの排出量算定や削減方針の提示を求められる場面が増えてくると考えています。一方で、県内の小規模事業者は、そうした外部環境への変化に十分に対応できていないのが現状です。
※2 SSBJ基準:「サステナビリティ基準委員会(SSBJ)」が2025年3月に公表した、日本におけるサステナビリティ情報開示のための新しい基準
こうした課題は、企業訪問の際や、セミナー・ワークショップの参加者から聞かれる内容です。
ーー今挙げた3つの課題の解決に向けては、どのような取り組みを進めていますか?
松尾)現在、佐賀県は脱炭素経営に関して次の4つのステップで整理して取り組みを進めています。


脱炭素経営の4つのステップ「知る」「測る」「減らす」「開示する」
私たちも県からの受託事業では、この4つのステップを軸に脱炭素経営を推進しています。
具体的には、脱炭素経営の基本を学ぶセミナー(①知る)、温室効果ガス排出量を「測る」「減らす」ための演習型ワークショップ(②測る・③減らす)、県内の取り組み事例を共有・発信するセミナー(④開示に向けた学び)を組み合わせて実施しています。
特にワークショップでは、MS&ADインターリスク総研に講師を依頼し、こちらの狙い・要望に沿って内容を調整いただきながら、企業が実践に踏み出せるよう後押ししました。
ーーワークショップで脱炭素経営の実践を後押ししたいと考えた際に、どのような経緯でMS&ADインターリスク総研をパートナーに選んだのですか?
松尾)先ほどの4つのステップで取り組みを進めることを考えたとき、これまで実施してきたセミナーや先進企業の視察で「知る」というステップまでは、多くの企業が到達できていると感じていました。一方で、「測る」から先のステップにはまだまだ踏み出せていない現状にあります。
こうしたことを踏まえて、私たちは次のステップに踏み出す後押しをできるよう、「知る」ステップにあたるセミナーと、「測る」以降のステップとなるワークショップを組み合わせた企画を検討していました。
この企画を実現するためには、専門家のサポートも必要だと考えインターネットでいろいろ調べたのですが、思い描いていたような情報が出てきませんでした。
そこで、MS&ADインターリスク総研に相談したところ、私たちが希望するワークショップの講師を担っていただけることになりました。
ーー実際にワークショップを実施して、内容についてどう感じましたか?
松尾)今回のプログラムでは、MS&ADインターリスク総研に講師を務めていただき、2回のワークショップを実施しました。1回目のワークショップでは、温室効果ガスの排出量を測る方法を習得してもらい、2回目のワークショップで自社データを使って実際に測定して、削減計画を立ててもらいました。
実施してみて、温室効果ガスの排出量算定だけではなく、削減計画やロードマップの策定、それに社内の体制作りまで進めることができ、これまでにない手応えを感じました。
ーー参加した企業の皆さまからは、どのような感想がありましたか?
松尾)脱炭素に向けた目標をすでに設定していたある企業の担当者は、目標を実現するための具体的な取り組みにまで落とし込めていなかったということで、ワークショップで習得したことを踏まえて、目標達成に向けた取り組みをブラッシュアップして自社のホームページ上で公表して、対外的にアピールしたいと話されていました。


ワークショップの様子(画像提供:温暖化防止ネット)
また、省エネ・脱炭素に関連するサービスを扱う事業者からは、自社の実践を示しつつ、提案時に削減効果を見える形で示せるようになることで、提案の質が高まり導入促進につながる、という声がありました。
ほかにも、社内で脱炭素経営を促進する立場にあるという担当者は、「脱炭素の取り組みがどの程度効果があるのかを、どう伝えればよいかわからずにいたが、ワークショップを通して何をすればどのくらい効果があるのかを社員に伝えることができそうだ」と話されていて、社内で勉強会を開催したいとのことでした。
ーー今回のワークショップの内容について、事前にイメージされた内容よりよかったと感じた点や改善していくべき点などはありましたか?
松尾)今回のワークショップは、1回につき佐賀県内4ヵ所で実施したのですが、開催するごとにいろいろな気づきや反省点が出てきましたので、それを踏まえてその都度MS&ADインターリスク総研の担当者と打ち合わせをして、改善しながら進めていきました。その結果、回を重ねるごとに満足度が高まっていった印象です。
例えば、すでにエネルギー使用量や排出量に関するデータを持っている企業からは、エコアクション21※3や今回のGHGプロトコル※4など、提出先ごとに求められる様式が異なるため、書類作成の負担が大きいという声がありました。
そのため、今あるデータをどう活用して、GHGプロトコルに沿った形で区分・整理していくのかといった、実務面での支援が必要だと感じました。
こうしたケースにも対応できるよう、こちらから都度要望を共有し、MS&ADインターリスク総研には講師として一つひとつ丁寧に対応いただきました。
※3 エコアクション21:環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)。パフォーマンスを継続的に改善する手法を基礎として、組織や事業者等が環境への取り組みを自主的に行うための方法を定めている。出典:エコアクション21中央事務局Webサイト
※4 GHGプロトコル:GHGの排出量を算定・報告するために定められた国際的な基準。引用元:経済産業省資源エネルギー庁Webサイト
ーー最後になりますが、今後、温暖化防止ネット様としては、地域の企業の脱炭素経営推進に関して、どのように取り組みを進めていきたいと考えていますか?
松尾)これまで「学び」で止まっていたところから、「実行・実践」まで踏み出せる企業を増やしていきたいと考えています。
現状、「脱炭素」という言葉だけを聞くと、どこか“自分事”としてとらえることが難しいと感じる企業がまだまだ多いと感じています。
ただ、脱炭素の視点を加えると、行政の補助金を活用してコストを抑えて最新の設備を導入することができたり、エネルギーコストが高騰する中で長期的なコスト削減につながったりと、脱炭素経営に取り組むことが、実は企業の直接的なメリットになる可能性があるということをもっと知ってもらう必要があると思っています。
今回実施したワークショップを通じて、省エネ設備導入による排出量削減効果を示すことで補助金申請につながることや、申請書への具体的な落とし込み方など、実務に直結する気づきが得られることがわかりました。
こうした経験を通じて、地域の企業が脱炭素経営を「自分事」として捉えられるようになることを期待しています。これらの取り組みを通じて、県内企業が取引先からの要請に対応できる力を高め、取引先として選ばれ続けることで、県内産業の競争力が維持・発展されていくように、脱炭素経営の推進に取り組んでいきたいと考えています。


NPO法人温暖化防止ネット 松尾真理子事務局長
(本インタビューは、2026年1月6日に実施されたものです)
今回MS&ADインターリスク総研が講師を務めた「脱炭素経営ワークショップ」は、中堅・中小企業の脱炭素経営の実践を支援する内容となっています。
自治体や商工団体、それにサプライチェーンをリードする企業など、域内企業や取引先の中堅・中小企業の脱炭素経営を推進したいとお考えの皆さまは、このワークショップの導入やご活用をぜひご検討いただき、MS&ADインターリスク総研にお気軽にご相談ください。
¥0
WICI統合報告書表彰でイトーキが最高位、人的資本戦略と経営戦略の融合を高評価
¥0
IUCN RHINOアプローチとSTAR指標のアップデート概要
¥0
ESRS簡素化案を欧州委に提出、 企業の報告負担軽減で必須開示項目を61%削減
¥0
冬季オリンピックとサステナビリティ:雪不足の危機をビジネス機会へ
¥0
中国における「ネットワークデータ安全管理条例」に関する解説【中国風険消息(中国関連リスクニュース 2025年12月)】
現在、ネットワークセキュリティを取り巻く状況は世界的に一段と厳しさを増しており、米国や欧州では新たなネットワークセキュリティ関連法が相次いで制定され、より厳格なデータ監督体制が構築されつつある。
米国では、近年「サイバーセキュリティ情報共有法」「海外データ合法的使用明確化法(クラウド法)」「データ安全・保護法案」などが相次いで導入された。特にクラウド法は、米国企業および米国で事業を行う外国企業に対し、世界各地に保存されているデータの提供に協力することを求める内容である。また「データ安全・保護法案」は、個人データの収集、利用、保存、伝送に対してより厳格な要件を課し、企業のデータ安全保護責任を強化するものである。
欧州においては、ネットワークセキュリティ関連立法は、より体系的かつ厳格である。「一般データ保護規則(GDPR)」は2018年の施行以来、高い規制水準と厳格な罰則で世界的に知られており、違反した場合は全世界の年間売上高の4%または2,000万ユーロのいずれか高い額が適用科せられる。その後も「サイバーセキュリティ法」「デジタルサービス法」「デジタル市場法」などが順次制定され、ネット空間の監督強化、プラットフォーム責任の明確化、データ安全およびユーザーの権益保護が一層推進されている。
このような国際環境の中で、各国はデータ越境移転やデータ安全保護に対する要求を高めており、データ領域における国際ルール競争が激しさを増している。中国はネットワークデータ大国として、国際ルールの変化に対応し、ネットワークデータ安全を維持するための関連法規体系を早急に整備する必要がある。また中国で事業を展開する企業に対し、明確なコンプライアンス指針を提示し、各国の法制度の差異により企業がコンプライアンス上の困難に陥ることを回避する狙いがあると考えられる。
中国のデジタル経済は急速に発展しており、ネットワークデータの価値は一段と高まっている。他方で、ネットワークデータを悪用した犯罪も増加しており、個人・企業・国家の安全に深刻な脅威をもたらしている。
個人情報の漏えいの観点において、違法手段を通じて大量の個人情報を取得し、詐欺やターゲティング広告などの違法行為に利用するケースが散見される。
企業データ安全の面では、営業情報の漏えいや基幹データの窃取が生じている。あるテクノロジー企業では、内部従業員が外部者と共謀し、基幹データを窃取して競合他社に流出させ、同社に大きな経済的損失と競争力低下をもたらした。また企業を狙ったハッカー攻撃も増加しており、ランサムウェアで企業データを暗号化し、身代金を要求するなど、企業の正常な運営に甚大な影響を与える事例も発生している。
中国国内で深刻化するネットワークデータ安全の課題に対し、「サイバーセキュリティ法」「データ安全法」「個人情報保護法」(以下「データ三法」という)はデータ安全および個人情報保護に関する基本制度を定めてきた。しかし、実務レベルではなお細則の不足や制度運用面での課題が存在していた。安全管理条例は、ネットワークデータの処理活動をさらに規範化し、法律運用上の空白を補い、ネットワークデータの安全を保障し、データの適法・合理・有効な利用を促進するために制定されたものである。
安全管理条例は中国国内で実施されるネットワークデータ処理活動およびその安全監督に適用される。ここでいうネットワークデータとは、ネットワークを通じて収集・保存・伝送・処理・利用される各種電子データを指す。
さらに、国外の機関・組織・個人が中国国外で行う活動であっても、中国国内の個人情報を処理する行為や、関連するネットワークデータ処理活動が中国の国家安全、公共利益、または公民・組織の合法的権益を損なう場合には、法に基づき責任追及の対象となる。これは中国に進出している企業にとって、在中拠点でのデータ処理のみならず、海外本社とのデータ連携も含め、在中ネットワークデータに関わる一切の活動が本条例の適用を受けることを意味する。
安全管理条例は全9章64条で構成されており、章の構成及び章ごとの位置づけや対象は次のとおりである。


| 章 | 役割・位置づけ | 対象 |
|---|---|---|
| 第1章 第9章 | 条例の全体的な枠組みを整理し、補足的な規定 内容を示す | 安全管理条例の適用を受けるすべての 事業者 |
| 第2章 | ネットワークデータ処理活動における一般的な基 本要求を定める | 中国でネットワークデータを扱うすべての 企業 |
| 第3章~ 第6章 | 個人情報、重要データ、越境データ、ネットワーク プラットフォームサービス等に関する制度を体系的 に整理する | 個人情報・重要データを扱う企業、データ を国外に移転する企業、プラットフォーム 事業者 |
| 第7章 第8章 | 監督管理および法的責任について定め、条例の 実効性確保を図る | 監督当局およびネットワークデータを扱う すべての企業 |
| 違法なデータ処理活動の禁止 |
|
|---|---|
| データ処理者の主体責任 |
|
| データ協力及び移転の要件 |
|
| 技術の適用及び自動化ツールの要件 |
|
| 国家安全審査の要求 |
|
1)等級保護制度(等保制度)とは、ネットワークや情報システムを重要度に応じて等級分けし、等級ごとに必要な安全対策や評価義務を定める中国の基本的なサイバーセキュリティ管理制度である。在中日系企業においても、中国国内でネットワークや情報システムを運用する場合には原則として適用対象となり、データ安全管理やコンプライアンス対応の前提制度の一つとなっている。
安全管理条例では、個人情報保護に関する規定が重点的に細分化されている。
| 透明性の要求 |
|
|---|---|
| コンプライアンス義務 |
|
| 本人の権利の保障 |
|
| 自動収集とデータ処理 |
|
| 越境・大規模処理に対する義務 |
|
| コンプライアンス監査と監督体制 |
|
2)地級市とは、中国の行政区分において、省の下位に位置する地方行政単位であり、日本の「県庁所在地を中心とする広域市」に近い位置付けである。多くの場合、企業に対する行政手続や監督・届出は地級市レベルの主管部門が所管している。
法的責任:個人情報保護関連規定に違反した場合、その程度に応じて警告・罰金等の処分を受ける。例えば、所定の告知義務を履行しなかったり、不適切な方法で同意を取得した場合、5万元以上50万元以下の罰金を科される可能性がある。情状が重い場合は50万元以上200万元以下の罰金に加え、関連業務の停止、営業停止・整頓等を命じられることがある。
安全管理条例は重要データを明確に定義している。すなわち、特定の分野・集団・地域に関する、または一定の精度・規模に達するデータであって、改ざん・破壊・漏えい・違法な取得や利用が行われた場合に、国家安全・経済運行・社会安定・公共の健康および安全に直接的な危険をもたらすおそれのあるデータである。例えば、金融業の顧客取引データ、医療業の患者カルテデータ、エネルギー業のパイプライン運転データなどは重要データに該当し得る。
| 重要データ目録の管理 |
|
|---|---|
| 処理者の組織的責任 |
|
| データ流通リスクの管理 |
|
| 年次リスク評価および報告体制 |
|
| 他分野との連携 |
|
法律責任:重要データの識別・申告を行わなかった場合、またはリスク評価を実施しなかった場合は、10万元以上100万元以下の罰金を科される。情状が重い場合は、100万元以上1,000万元以下の罰金が科され、併せて直接責任を負う主管者およびその他の直接責任者に対して1万元以上10万元以下の罰金が科される。
安全管理条例は、既存の関連部門規章の立案・運営経験を踏まえ、データ越境管理規程のメカニズムをさらに最適化している。
| 管理の枠組み |
|
|---|---|
| 重要データの越境移転の管理ルール |
|
| 越境移転メカニズム |
|
| データ処理者のコンプライアンス義務 |
|
3)非センシティブ個人情報とは、中国の「個人情報保護法」に定義されるセンシティブ個人情報(人種、宗教、健康情報、生体識別情報、金融口座情報等)に該当しない個人情報を指す。中国法上、センシティブ個人情報と比べて取扱い要件は相対的に緩やかであるが、個人情報に該当する以上、収集・利用・越境提供等においては合法性、正当性、必要性の原則および安全管理義務が引き続き適用される。
法律責任:ネットワークデータの越境移転に違反した場合、20万元以上200万元以下の罰金が科される。事案の深刻度が高い場合は、200万元以上1,000万元以下の罰金が科され、あわせてデータの越境移転を制限されることがある。さらに、直接責任を負う主管者およびその他の直接責任者には、2万元以上20万元以下の罰金が科される。
ネットワークプラットフォームサービス提供者がデジタル経済および公共サービスにおいて重要な役割を担っていること、ならびに実務上存在する問題を踏まえ、「安全管理条例」はその義務について特別な規定を設けている。ネットワークプラットフォームサービス提供者、第三者の製品およびサービス提供者、プリインストールされたアプリケーションを搭載するスマート端末などの機器製造者に対し、ネットワークデータの安全保護義務を履行することを、安全管理条例では求めている。
| 第三者に対する管理義務 |
|
|---|---|
| アプリ配信の管理 |
|
| 自動化決定に関する規定 |
|
| 大型プラットフォームの特別義務 |
|
法律責任:ネットワークプラットフォームサービス提供者が関連義務に違反した場合、その処罰は厳しく、違反の程度に応じて10万元から1,000万元までの罰金が科されるほか、事業の停止や営業停止・是正措置といった処分を受ける可能性がある。
「データ三法」は、中国のネットワークデータ安全分野における基本的な法的枠組みを構築しており、安全管理条例はその補完的な行政法規として、これらの法律と密接に関連しつつも、明確な相違点を有している。
| 共通点 | |
|---|---|
| 立法目的の共通性 | これらの法律・法規の根本的な目的はいずれも、国家安全と公共の利益を維持し、個人およ び組織の合法的権益を保護することにある。
|
| 共通原則の遵守 | データ処理活動において、これらはいずれも合法性、正当性、必要性の原則を遵守している。
|
| データ安全保護の全過程の重視 | これらの法律はいずれも、データの収集、保存、利用、共有から廃棄に至るまでの全過程に わたり、安全保護を求めている。
|
| 相違点 | |
|---|---|
| 法律の階層と効力の違い | 「データ三法」はネットワーク安全分野における基本的な法律であり、トップレベルの設計枠組 みを構成する。一方で安全管理条例はその下位に位置づけられる実施細則である。
|
| 規律面における重点の相違 | 「データ三法」はそれぞれの核心分野に重点を置くのに対し、安全管理条例は実務レベルの 概念・定義により着目している。
|
| マクロ規定と細則の相違 | 「データ三法」が国家レベルでの全体要求を定めるマクロ的な枠組みであるのに対し、安全管 理条例はこれら要求を実務に落とし込む具体的な細則である。
|
企業は日常の運営において、従業員の個人情報管理、顧客データの保守、業務データの保存および送信など、大量のネットワークデータ処理活動に関与している。安全管理条例の施行により、企業が自社のデータ安全管理体系を改めて見直し、整備する必要性を意味するものである。
4)クローラーとは、プログラムを用いてウェブサイトやネットワーク上の情報を自動的に巡回・収集する仕組み(自動取得ツール)を指す。検索エンジンによる情報収集などの正当な用途がある一方、設定や利用方法によっては、過剰なアクセスや無断取得としてデータ安全・個人情報保護上の問題を生じさせる可能性がある。
近年、すでに一部の企業がデータ安全に関する法律・法規に違反したとして処罰を受けている。これらの事例は、在中日系企業に対しデータ安全に関するコンプライアンス業務を極めて重視し、安全管理条例および関連する法律・法規を厳格に遵守し、同様の過ちを繰り返さないよう警鐘を鳴らすものである。
| 概要 | 重慶のIT企業が、自社の自動車レンタルサービス用「OA情報システム」のデータを計159回にわた り窃取された。 |
|---|---|
| 原因 | 当該システムの3306番ポートが開放され、MySQLデータベースサービスがパスワード未設定の状態 で稼働しており、認証情報の脆弱性が存在していた。 |
| 違反事項 | ネットワーク安全・データ安全保護義務を法に従い履行せず、データ安全を確保するための技術的措 置を講じていなかった。 |
| 関連法令 | 「サイバーセキュリティ法」「データ安全法」「ネットワークデータ安全管理条例」 |
| 概要 | 湖南省のIT企業のイントラネットデータベースがインターネット上に露出し、漏えいリスクが存在してい た。 |
|---|---|
| 原因 | イントラネットデータベースにアクセス認証の脆弱性および弱い認証情報の脆弱性が存在していた。ま た、エンジニアが大量のユーザーデータをイントラネットデータベースにコピーし、公共インターネットへ のアクセスポートを開放していた。 |
| 違反事項 | ネットワーク安全・データ安全保護義務を履行せず、関連管理制度を構築せず、データ安全を確保す る技術的措置を講じていなかった。 |
| 関連法令 | 「サイバーセキュリティ法」「データ安全法」「ネットワークデータ安全管理条例」 |
| 概要 | 上海IT企業が運営する自動販売機が、顔情報を違法に収集し、システムに安全脆弱性が存在してい た。 |
|---|---|
| 原因 | 決済過程でユーザーの同意を得ずに顔情報を収集していたほか、個人情報保護影響評価制度を構 築しておらず、システム上に高リスクのSQLインジェクション脆弱性が存在していた。 |
| 違反事項 | 個人の顔情報の違法収集、個人情報保護影響評価制度の未構築、重大なセキュリティ上の脆弱性の 放置。 |
| 関連法令 | 「サイバーセキュリティ法」「個人情報保護法」「ネットワークデータ安全管理条例」 |
企業がこのような事例を未然に防止するためには、企業自らが安全管理条例が求める要件に対し、①自社のネットワークデータ処理活動が適合しているか、②要件に対し、有効に機能しているのか、という点を鑑み、対応を検討し、取組みを進めていく必要がある。取組みを進めていく上で重要な観点として以下が考えられる。
在中企業は、法務・IT・業務などの部門で構成する専門チームを組織し、安全管理条例の要件に照らして、自社の現在のネットワークデータ処理活動について全社を対象とした自己点検を行う必要がある。点検には、データ収集経路が合法であるか、データの保存が安全であるか、利用範囲が付与された権限の範囲内であるか、共有先が適法であるか、データの国外移転プロセスが規定に適合しているかといった全ての段階が含まれる。
また、個人情報保護、重要データ管理、データの国外移転などの側面において、安全管理条例との適合度を評価し、存在するギャップや問題点を詳細に列挙し、書面報告として取りまとめる必要がある。例えば、企業が用いている個人情報収集フォームが必要事項をすべて明確に告知しているか、データ保存システムの安全防護措置が十分であるかなどを確認することが含まれる。
自己点検の結果に基づき、企業内部のネットワークデータ安全管理制度および操作フローを整備する。各部門や各職務におけるデータ安全管理上の責任を明確化する必要があり、例えば IT 部門はデータ保存の安全性を担保し、業務部門はデータ収集の適法性を確保するなど、役割分担を明確にすることが求められる。
また、データ区分・階層化制度を整備し、安全管理条例が定義する個人情報と重要データの区分に従って、企業が保有するデータを分類・階層管理する。あわせて、リスク評価、安全防護、緊急対応などの制度を策定し、定期的なデータ安全リスク評価の実施や、データ漏えい時の緊急対応計画の策定などを行う。
例えば、個人情報処理フローの詳細な規程を整備し、収集・保存・利用・削除の各段階における操作要件を明確化するほか、データアクセス権限の管理メカニズムを整備し、権限を有する者のみが機微データや重要データにアクセスできるようにして、重要データの安全な保管・伝送を確保する。
全従業員を対象としたネットワークデータ安全研修を実施し、とりわけ個人情報を取り扱う人事部門、マーケティング部門(顧客データ)等、データ処理に携わる重要な職務にある担当者に重点的な教育を行う必要がある。
研修内容には、安全管理条例の主要内容、社内のデータ安全管理制度・プロセス、データ安全リスクの認識等を含めるべきである。さらに、事例分析やシミュレーション演習などの手法を活用して研修効果を高め、従業員がデータを不適切に処理した場合に生じ得る重大な結果を十分に理解し、ネットワークデータ安全への認識および適切な行動の定着を図ることが求められる。
専任のコンプライアンス審査担当者またはチームを設置し、法律およびデータ安全に関する知識を備えた専門人材で構成する。企業が新たに展開するビジネスモデル、データ処理活動、データ連携プロジェクトなどについて事前のコンプライアンス審査を行い、安全管理条例および関連する法律・法規の要件に適合していることを確保する。
例えば、新たな市場調査プロジェクトを実施するにあたり、大量のユーザーデータを収集する必要がある場合には、コンプライアンス審査チームが事前にデータ収集計画の適合性を確認する。また、他企業とデータ共有の協力を行う際には、データ利用に関する協定条項がデータ三法等にに合致しているかどうかを審査し、違反行為によって法的リスクやレピュテーションリスクが生じることを回避する。
企業がデータ安全やコンプライアンスに関する専門的な能力を自社内で十分に備えていない場合には、専門のコンサルティング会社や法律事務所の支援を求めることも一つの手段である。これらの専門機関は、安全管理条例に関する専門的な助言、コンプライアンス対策の設計、リスク評価などのサービスを企業に提供し、企業が安全管理条例の要件をより効率的に満たすことを支援することが可能である。
例えば、当社においてもデータ三法および関連する GB(中国国家標準)に基づく専門的な評価サービス(サービス名:データ三法対応状況評価サービス)も提供しており、企業のコンプライアンスリスクを洗い出し、データ資源と企業の信頼性を守り、法的リスクを低減することを支援している。
実施にあたっては、ヒアリング、現場点検、ツールによるテストなどが含まれ、主にネットワーク環境、等級保護およびデータ安全、システム脆弱性など7項目を評価するものである。




サービス提供からレポート提出までの期間は約1か月であり、日中両言語による評価報告書を提出するサービスである。評価報告書においては、リスク項目を3つの分類(高リスク、中リスク、低リスク)に整理し、区分・階層化、安全防護などの是正策を提示することで、企業の経営層が既存のリスクを全体的に把握し、今後の改善方向を明確にし、企業のネットワークセキュリティ能力を向上させることにつながると考えている。
本稿では、「ネットワークデータ安全管理条例」に基づき、在中日系企業がネットワークデータ管理の観点から特に留意すべき要点について解説した。
「ネットワークデータ安全管理条例」の施行は、在中企業のネットワークデータ安全管理に対して新たな要件と課題を提示するものである。在中企業はこれに積極的に対応し、コンプライアンス管理を強化し、ネットワークデータ安全の保護水準を高めることで、中国における事業の安定的な発展を確保する必要がある。
【参考資料】
¥0
アンケート調査「大企業に勤務する社員の福利厚生(団体保険、GLTD)に関する意識について」【リサーチレター(2026年2月)】
日本では近年、業種を問わず人手不足が深刻化しており、企業は福利厚生 ※1(法定外福利厚生)の充実を通じて人財の採用・定着を図る動きが強まっている。求職者は就職・転職の際、給与に加えて福利厚生を重視する傾向があり、福利厚生制度が整備された企業が選ばれる時代になったと指摘される。
こうした状況を受け、MS&ADインターリスク総研は2025年12月に大企業に勤務する社員1,000名※2を対象にアンケート調査を実施した。本稿では本調査の結果およびそれに基づくデータ分析の結果について紹介する。
なお、本調査では福利厚生の中でも、社員が病気やケガで働けなくなった時の補償に着目した。団体長期障害所得補償保険(Group Long‑Term Disability Insurance, GLTD)は、社員が病気やケガで働けなくなった際に最長で定年年齢まで所得を補償する制度として注目されているため、そのニーズについて調査を行った。
※1)法律により企業に実施が義務付けられる法定福利厚生と、企業が独自に定める法定外福利厚生とに大別されるが、本稿における「福利厚生」とは法定外福利厚生を指す。
※2)回答者は「社員」と自己回答し、かつ「勤務先の社員数が2,000人以上」と回答した者を対象とした。本稿ではこれらを「大企業に勤務する社員」と記す。
2025年12月19日~25日の間にインターネットによる調査を行った。
1,000人(男性500人、女性500人)
20~29歳、30~39歳、40~49歳、50歳~59歳、の年齢4区分ごとに男女各125人。
| 社員数 | 回答者数(人) |
|---|---|
| 2,000~5,000人未満 | 302 |
| 5,000~10,000人未満 | 192 |
| 10,000人以上 | 506 |
| 都道府県 | 回答者数 | 都道府県 | 回答者数 | |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 1,000 | 三重県 | 9 | |
| 北海道 | 26 | 滋賀県 | 5 | |
| 青森県 | 5 | 京都府 | 12 | |
| 岩手県 | 0 | 大阪府 | 82 | |
| 宮城県 | 12 | 兵庫県 | 48 | |
| 秋田県 | 6 | 奈良県 | 8 | |
| 山形県 | 2 | 和歌山県 | 7 | |
| 福島県 | 5 | 鳥取県 | 4 | |
| 茨城県 | 23 | 島根県 | 2 | |
| 栃木県 | 13 | 岡山県 | 12 | |
| 群馬県 | 11 | 広島県 | 16 | |
| 埼玉県 | 71 | 山口県 | 2 | |
| 千葉県 | 71 | 徳島県 | 5 | |
| 東京都 | 214 | 香川県 | 2 | |
| 神奈川県 | 119 | 愛媛県 | 9 | |
| 新潟県 | 7 | 高知県 | 1 | |
| 富山県 | 5 | 福岡県 | 19 | |
| 石川県 | 5 | 佐賀県 | 2 | |
| 福井県 | 3 | 長崎県 | 5 | |
| 山梨県 | 4 | 熊本県 | 3 | |
| 長野県 | 14 | 大分県 | 4 | |
| 岐阜県 | 11 | 宮崎県 | 1 | |
| 静岡県 | 16 | 鹿児島県 | 8 | |
| 愛知県 | 89 | 沖縄県 | 2 |
本調査では最初に回答者が就職・転職を検討する際に、その企業の福利厚生を重視するかどうかについて聞いた。その結果、「重視する」と「やや重視する」の合計は77.6%となった(図1)。


さらに、回答者に具体的にどのような福利厚生を重視しているのかを聞いた。その結果、最も回答が多かったものは「法定外・特別休暇」の69.0%であった。後述する「団体保険」については19.9%であった(図2)。


また、福利厚生の充実が、企業で働き続けることの要因となるかについては、「そう思う」と「ややそう思う」の合計は77.9%となった(図3)。
-*-*-*-*-


回答者が勤務する企業の福利厚生に対して満足しているかどうかについては、評価が分かれた。「やや満足」と「とても満足」の合計(満足している)は50.7%、「あまり満足していない」「全く満足していない」「強く不満」の合計(満足していない)は49.3%であった(図4)。


本調査では、回答者が病気やケガで長期間働けなくなったときの経済面での不安について聞いている。「特に不安はない」という回答が2割を超えたが、最も回答が多かったのは「生活費」の不安(62.4%)であった(図5)。


自分が病気やケガで長期間働けなくなったときの「生活費」に関して経済的に準備できているかという設問については、「しっかり準備できている」が4.6%、「準備できている」が31.3%となっている(図6)


本調査では、代表的な5つの団体保険を回答者に示し、勤務する企業で福利厚生として導入されているかを聞いた。「生命保険(死亡保障)」が34.5%と最も多く、後述する「長期障害所得補償保険(GLTD)」については、12.3%と最も少ない結果となった(図7)※3。なお、勤務先の団体保険の有無について「わからない」とする回答は34.5%となっている。


※3)複数の回答者が同一の企業に勤務する可能性があるため、この値を企業における GLTD の導入率の参考値とするには注意が必要である。
GLTDについてこれまで知っていたかを問う設問では、回答者の約半数が「聞いたことがなく、全く知らない」と回答した(図8)。


そこで、GLTDの概要※4を回答者に示したうえで、そのような所得補償制度が福利厚生として提供されることは、回答者が企業で働き続ける要因となるかについて聞いた。その結果「そう思う」と「ややそう思う」の合計は67.5%となった。(図9)。


※4)以下の文章を質問票に挿入した。「長期障害所得補償保険(GLTD)とは、病気やケガで働くことができなくなった従業員の収入ダウンを長期にわたり補償する保険です。企業の福利厚生制度の一環として導入されるもので、会社が保険料を負担する制度と従業員が任意に加入する制度を組み合わせることができます。」
回答者が勤務する企業の福利厚生に対して満足しているかどうかの設問については、前に述べたとおり、評価が分かれている(図4)。ここでは「やや満足」「とても満足」とした回答者507名を「満足している」回答者とし、「あまり満足していない」「全く満足していない」「強く不満」とした回答者493名を「満足していない」回答者として、両者の回答傾向の分析を試みた。
図10は団体保険の有無を回答者に聞いた設問の回答結果であるが、「わからない」および「どれもない」については「満足していない」回答者の回答率が高く、代表的な5つの団体保険の導入状況(「ある」の回答)についてはいずれも「満足している」回答者の回答率が高い。
これらの結果は、団体保険が整備され、かつ社員がそれを認知している場合は福利厚生に対する満足度が高まり、逆に、団体保険の未整備あるいはその周知不足は満足度低下につながることを示唆している。


住友生命が2024年に実施した、企業の福利厚生制度に関する調査では、従業員規模1,000人以上の企業のうち、従業員の就業不能時の給与保障(補償)を「損害保険で対応している」割合は約17%であった ※5。これをGLTDの導入率として考えた場合、本調査の結果と同様にGLTDは福利厚生としてはまだ主流ではないことを示唆している。
一方で本調査ではGLTDについてポジティブな結果も確認された。本調査では、勤務先の福利厚生に「GLTDがある」と回答しなかった回答者877名に、福利厚生に「病気やケガで就業できない時の所得補償(団体保険)」を導入してほしいかどうかを聞いている(図11)。その結果「そう思う」と「ややそう思う」の合計が7割を超えている。


※5)同調査では従業員の就業不能時の給与保障(補償)を企業が内部留保で対応するケースもあるとしている
本調査により、大企業に勤務する社員は就職・転職の際に福利厚生を重視するとしつつも、団体保険に対する関心とGLTDの認知度は低いことが明らかになった。一方で、本調査の結果は、福利厚生への満足度と団体保険の整備及びその周知には関連があることを示唆している。
また、多くの社員は病気やケガによる長期の就労不能リスクを認識しており、こうしたリスクに対応する補償制度を福利厚生として導入することには前向きであることも示された。これらの結果は、福利厚生の重点が「死亡時の備え」から「就労不能時の備え」へと移行しつつあるという指摘とも整合する。
企業の福利厚生が人財確保のために重要であるとすれば、当然その内容は社員や求職者のニーズを反映することになる。本調査が福利厚生制度の立案の一助となれば幸いである。
【参考文献】
アドバンテッジ リスク マネジメント(2017)『「働けなくなるリスク」に関する意識調査 働けなくなるリスクについてよく考える人はGLTDに高いニーズ』
住友生命保険(2024)『企業の福利厚生制度に関するアンケート調査結果』
生命保険協会(2024)『生命保険事業概況』
生命保険文化センター(2023)『2022(令和4)年度生活保障に関する調査』
日本経済団体連合会(2020)『第 64 回福利厚生費調査結果報告』
日本経済新聞社(2025/9/10)『「従業員の休職時に所得補償」保険の導入、6年で7割増 福利厚生充実』日本経済新聞電子版
¥0
メンタルヘルス支援(コンサルティング・研修)
¥0
新政府サイバーセキュリティ戦略、能動的防御と官民連携強化 AI・量子対応、人材育成などが柱
¥0
ISSB、自然関連開示基準策定を決定、2026年10月に公開草案を公表
¥0
【実例付き解説】企業に求められる「安全配慮義務」とは 『災害時の初動対応で現場が陥る3つの落とし穴』 資料ダウンロード
¥0
厚生労働省 カスタマーハラスメント対策の指針案示す
¥0
TNFD、「自然関連データ・パブリック・ファシリティ(NDPF)」の具体的な構想提示
¥0
リスクに応じて対処手段を考えることが重要!日本企業のリスクファイナンスの現状と課題
¥0